「早いなぁ…まっすぐ進んでいるはずなのに追いつかないよ。」


先が闇のまま、ジェフは嘆く。
その嘆きも響き渡って消える。


「しょうがないよ。あのイオニアって人がなんかこことか知っていそうだし、無理もないと思うよ?」


ネスは先導してきょろきょろと辺りを見回す。
その時に、目の前にハシゴがあり、その上から光が差し込んできた。
随分と歩いたもんだと思いながらはしごを上る。





「やっぱりハリは抜かれている…誰が抜いたかわからない。
闇のドラゴンにはハリを抜いた者の心が映されていく…
といわれているけどここには何の気配も漂っていない。
良き心も、邪悪な心も…不思議。
心のない人間なんて、この世にいるのかしら?」


おそらくハリがあったであろうそこを見つめるイオニアがただそこを見つめているだけ。
リュカもボニーも、ただイオニアの話を聞いて唖然としている。

偶然居合わせることのできたネスとジェフもイオニアの発言にぽかんとしているだけだった。


「闇のドラゴンは永遠に封印されたまま…いいえ。
貴方はPK LOVEを覚える事ができたわね?
あなただったらもしかして…」


イオニアはリュカの不思議な力を目に付ける。


「そうだ。貴方にはなんの説明もしてなかったわね。
貴方にもハリのこと話しておかなくちゃ。」


イオニアはリュカと面と向かう。
そしてようやくネスに気づき、何を思ったか、ネスにも話してくれる。





イオニアの長く大事な話は、本来なら誰しも眠りこける話ではあった。
しかし重要な話。ネスはその話を真剣に黙って聞いていた。


この島を護る闇のドラゴン

それを封印している『マジプシーの針』

針を抜くのはリュカともう一人の誰か

針を抜いて、抜いた者の心を映し

世界は新しく生まれ変わる

全ての命が光り輝き

イオニアたち、マジプシーはそうして1万年もの寿命を終えて消え去る


イオニアの話を聞いた人は誰もが厳しい先が待っているということが予測できた。
リュカ一人だけなら、ただ針を抜いて行くだけ。
だが、針を抜く人はもう一人いるというのだ。

その人はイオニアの言うとおり、心を感じない。
イオニアが話した針のことは、心が映るもの。
闇のドラゴンが心のないまま目覚めたら、この島はきっと無に還るのでは…


ネスが思い悩むのを、みんなの気を引くほどの大きさで鳴り響く電子音が我に返させた。
リュカがそれを見つけると、拾い上げて何かのボタンを押す。


「指揮官殿!!急いできてください!!」


その場で話をしているかのような声のでかさ。
いくらトランシーバーとはいえ、話が丸聞こえ。


「次の針の場所が確定できました!サル、サルサルがとにかく開けるんです!
詳しいことは後で説明します!キマイラ研究所へ来てください!」


キマイラ研究所と聞いて、ついネスははっと思う。
紫色をた森の中に、奇妙な生き物が集う研究所。

話が一通り終わると、リュカはトランシーバーを手に入れる。
ここにいたブタマスクの誰かが落としたものだし、幸い今でも『指揮官殿』に間違われている。


「そっちの階段を下りればタツマイリの近くに出るわ。
あなたはそっちへ!私は自分の護る針が心配になってきたわ…」


イオニアの身体がふわっとする。
テレポートのようなPSIを披露する。


「必ず貴方とはまた逢えるはず。
逢えなかったら私か貴方かどちらかがこの世にいないってことね…
うふっ、バイビ〜」


なんかさらっと物騒なことを告げてイオニアは自分の護る針の場所へと消え去った。
それからリュカの表情が重い。
過酷な運命を経験してから、更なる運命を告げられた。


「…大丈夫だよ、僕たちが力になってあげるから…」


リュカの両脇にネスとジェフがそれぞれに声を掛ける。
ネスやジェフだって、ここに来た目的がそれぞれあるのだから。


「まずはそのキマイラ研究所とか言うところに行って針を抜いてこようよ!」


ネスがリュカを先導して引っ張る。


「でも、場所はどこだか…」
「大丈夫!僕はどこだか知ってるよ!だからあの『指揮官殿』に抜かれる前に行こう!」


















「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -