さっきリュカが運ばれたところに戻り、ウエスにもう一度ダスターとクマトラを探しに行くと伝えに行くそうだ。
ついでに情報収集と思い、ネスもついてくることにしたのだ。

リュカの後を追い、川原になぜか人だかりができている。
ネスもリュカも、さっきまではあんな人だかりはなかったはずと疑問に思い、人だかりに紛れる。
そこにはなんと布団のようなものに巻きつけられ、さらにロープで縛り付けられてしまっている人物がいる。
リュカには凄く面識がある。この人は以前リュカにPSIのチカラを目覚めさせた人だ。

ネスはオカマと認識して多少気が退いてる。
でもどうしてこのオカマさんがこんな目に遭うというのだろう。

しばらくもがき自力で猿轡を解く。


「ふー、自力で猿轡を外したわ!あなた、悪いけど起こしてくださらない?」


縛られている…女性?男性?はリュカに頼む。
リュカに起こされてるのに、なぜかロープは外さない。


「ありがと!お化粧を落としてイケてないところを襲われちゃったのよ。
あら!?あなたこないだ温泉であった男の子!」


ようやく知り合いと気づいた。ネスはあの時一体何をされていたんだろうと気になってしまった。
そしてこの人はオカマなのに、ただのオカマと感じない。
リュカにPSIを目覚めさせたというのだから。


「やっぱり運命の糸はアナタにつながっていたのね。
PSIを使えるって知ったときからアナタとはなにかあると思ってた。」


一体どういうことなんだろう。
PSIを使えるからってなぜ運命が絡むんだろう。
PSIなら自分だって使える。でもきっとリュカにはリュカの力があるからなのかな。


「そうよ、私たちマジプシーが何万年も待っていたのは
きっとあなた…なのね?」


わけの分からない顔をしていたリュカは表情を変えた。
自分にきっと何かが待っているのを感じ取って不安になる。


「あなたにもやっぱり分かるのかしら。『その時』が近づいていること…。
わからなくてもいいの。私にもまだ確信はないんだから。
でも私が襲われたということは…ひょっとして…。」


マジプシーの人は思いつめたように俯き、また顔を上げる。


「はっ!?大丈夫かしら?エオリアちゃん。でも私お化粧してないから飛んでいけないし地面をダサく歩いていくしかないわ。
しょうがない。歩いてでもいく。
あなた、一緒に行くのよ!エオリアちゃんのおうちまで!いいわね?」


お化粧をしていないから飛んでいけないとかという理由はどうやってもわからない。
きっとこの人がどうやらオカマな人だからお化粧をしないといけない理由があるのだろう。
それともお化粧をして変身するとか?

どちらにしろしょうがなく歩いていくというのだからよっぽど大事なことなんだろう。
リュカには拒否権はないだろう。
だからついていく必要がある。マジプシーと呼ばれた人たち?はリュカを待ち望んでいたらしいから。

リュカはうなずいた。
そしてネスのほうに顔を向ける。


「…?僕にどうしろと?」
「あの…とても危険な感じがするんです…この人たちが襲われるくらいなんですから…」
「うん。だからついてきてと?」


ネスだって用はないかもしれないがこんな危険な世界。
何があるかも分からないからリュカたちのボディーガードとしてついていくつもりだ。


「あら、あなたも来てくれるのね?なんだかたのもしそうだし。
…エオリアちゃんのおうちまではこの川を上っていけばすぐなんだけど…」


川はどうみても歩いていけるような深さをしていない。
ただでさえなぜかロープを解かず歩けない状態なんだから…


「ちょっと待ったお兄さん達、あんた達の話はさっっっぱり分からなかったけれど、
川を上るんだったら俺たちの出番だぜ。」


人だかりの中の一人のお兄さんが前に出る。
近くにあるボートの持ち主だろう。


「俺たちボートを漕ぐことが喜び。昔はボートなかったからなぁ…」


別のお兄さんも現れる。
ボートを漕ぐためならとなんだか凄くありがたい。


「手に入れたばっかりの最高のボートだ!もちろん乗っていくね?」


お兄さんがそう質問。リュカもマジプシーの人もボニーもネスも大きくうなずいた。





川を上っていく。
ゆっくりと過ぎていく景色を見つめて、目的地はまだかまだかとマジプシーの人はそわそわしている。


「…あなたも大きな力を持っているのね」


マジプシーはネスに話しかける。
やはり感づいた。ネスもかつては大きな運命を背負ったものだから。


「でもその力はもう必要ないかもしれないわ。あなたはやるべきことを成し遂げたから。」


きっとネスはこの世界をどうにかするためではないことを確信した。
この世界は…この時代はリュカが運命を握っているに違いない。
マジプシーが求めているのはリュカだから。


「ねぇイオニアさん、どうして僕をずっと待っていたんです?」


リュカがさっきから気になっていたことを問い詰める。
イオニアと呼ばれたそのマジプシーは答える。後でゆっくり説明してあげると。


「それよりも、エオリアちゃんもドリアちゃんも心配だわ…イケないところを襲われてしまったら…」


一体どうして襲われてしまうのかが引っかかる。
この人たちは相当なPSI使いに見えるのに…
戦うのを好まないんだな。




川を上り、親切なお兄さん達と別れを告げて、目的の家に着いた。
小さな湖の真ん中に、巻貝をモチーフにした家がある。


「あの、僕、危険な目にあわせないように見張っています。」


ネスは家に入ろうとするところで立ち止まり、二人と一匹に伝える。
戦いを好まない人に、危険な目に合わせたくないから。


「あら、助かるわ。でも大丈夫?」
「大丈夫です。僕は…慣れてますから。」


頼もしい笑顔に頼り、リュカとボニーとイオニアはエオリアと呼ばれた人の家に入っていった。
















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