リュカとネスは、久々の自宅に戻っている。

相変わらず家には誰もいないんだって。リュカのパパは相変わらずいなくなったおにいちゃんを探しているんだって。


「でも…無事でよかったよ…もうだめかと思ったんだ…!」
「え?どうして?」
「ジェフと一緒に、スカイウォーカーって言うのを使って塔に向かったんだ。
 それで僕のこのバッジを使って雷を跳ね返して塔を壊したんだ。そしたら…」


目に映ったものを全てリュカに話す。
その後どうしてリュカが無事だったのかを逆に聞いてみる。


「うん…気づいたらひまわりがいーっぱい咲いていた所にいてね、そこにおかあさんがいたんだ。
そのおかあさんの元に追って追ってひたすら追ったら…気づいたら目の前にネスさんがいて…」


そういえばウエスとアレックも、リュカのおかあさんがどうのこうのって言ってたのをネスはなんとなく思い起こす。


「でも…嬉しかったんだ!おかあさんに会えて!」


少し泣いているように見えた。
そんな表情を見て、ネスはなんとなく気づく。リュカのママはもういないんだなって。
だけどおかあさんに会えて元気になったんだ!そうリュカは言う。






「ネスさん…また探しに行かなきゃいけないけど…手伝ってくれます?」
「もちろん!ちゃんとウエスさんも安心させないとね!」


今は疲れているから、リュカはおとなしく椅子に座る。
塔の子供部屋みたいなところで見つけたあのヨーヨーをおもむろにポケットから取り出した。


「…!リュカ…そのヨーヨー…」


それをネスはしっかりと目に入る。


「もしかして…ネスさんの…?」


リュカが質問するとネスは黙り込んでしまった。
確かに自分のだと確信は持っている。
でもこれは…


「それは…確かに僕のだよ…でもそれはね、僕の『ともだち』に盗られちゃってね…」


ネスの明るさは失っていた。
ただ盗られてしまったのに?とリュカは疑問に思う。なにかあるのだろうかと考える。


「リュカ!本当にごめん!!」


突然理由もなしにネスは謝罪し始める。
そんなリュカはただ慌てるだけだった。


「い、いや、そんな急に謝られても…」
「…実はね…その友達は…ブタマスクたちを操って、こんな世界にしてしまった元凶なんだ…」


リュカはただ呆然として言葉が出なかった。
あまりの衝撃の真実に怒りも悲しみも苦しみも、一体何をすれば良いのかわからなくて、真っ白になる。


「僕が僕の使命を果たそうとして、それを友達が何度も何度も邪魔をしてきた。
僕が使命を果たしたときに、友達は別の時代へ逃げて別のプランを立てるって…」


この話をしているときはリュカはどんな心境なんだろう。
悲しいのか、怒っているのか、自分には分からなかった。


「だからごめん…僕があの時しっかりあいつのことを止めておけば…こうはならなかったんだ…」
「ネスさんは悪くないです!」


リュカはネスの語る真実を一掃する。
そして必死にネスの罪を拭い去る。


「その人はいつまでも邪魔をしたんでしょう?
ネスさんの使命はよく分かりませんが、それをどうしても果たさなきゃならなかった…
でもその人はネスさんの使命が果たされて、どうして逃げ出したんです?
そこでもうネスさんはその人にとっての『ともだち』に戻ったはずじゃないですか!」


決してネスを責めたりしなかった。
『あいつ』をこんなことにまで陥れた元凶は間違いなく自分だというのに。
だが『あいつ』を止めるための手段はあるはずだ。
自分が『ともだち』なんだって、今でもそう思っているから。


「だからお願いです、ネスさん。止めたにしても止められなかったにしても、こうなったことは仕方ないんです。
ですので自分を責めたりしないで…」
















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