ネスリュカ
紫陽花と向日葵のネタがやりたかった。
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の向日葵 雨の紫陽花




おひさまはすっかり顔を隠してしまった。
すきで隠れてはいない。
いじわるな雲が邪魔をしてるんだ。おひさまのひかりはあったかいのに、いまはひんやりして、きもちよくお昼寝してたのに起きちゃった。
ぼくはこれからネスのとこに戻る。

「…あっ」

リュカの頬にひとつの雫がぽたり。
次から次へとまたぽたり。
あのいじわるな雲が、今度は雨を降らせたんだ。
それからシャワーのように、いっぱいふってきた。
リュカは走る。濡れないように走る走る。

雨は嫌いだ。地面の土はぐちゃぐちゃにするし、服は濡れるし、空が泣いてるような気がして、リュカの心はどんよりと落ち込む。
おひさまがいないから、リュカの大好きなひまわりはリュカみたいに落ち込んで俯く。
その花びらから、その大きな葉っぱから雨の雫がしとしと。
そんな風に悲しそうにするひまわりを見て、リュカはつい足を止めた。
なんかひまわりもリュカも同じ気持ちかもしれない。

「…おひさまいなくて…さびしいね…」

なんとなくだけとひまわりは「そうだね。」と返事してくれた気がした。
雨足は弱まる事なく、しとしとと降り続ける。
濡れないように走ったのに、立ち止まってひたすら雨を浴び続けて、結局濡れて…もうどうにもなっちゃえなんて思った。
歩けば歩くほど、ちゃぷちゃぷと水溜まりは音を立て、それがリズミカルに聞こえて来た。
ちょっとでも気が晴れればな…って思ったけどやっぱ雨は雨だった。
雨降って、なんかいいことあるかななんて思った。
リュカは悪いことぐらいにしか感じない。
本当のことを知らないから?自然って素晴らしいことなのに、どうしても見えない。
リュカはまた足を止めた。
今度はひまわりじゃなかった。
小さな紫色の集まった紫陽花の花だった。
なんだかわからない。なぜかその紫陽花に心を奪われる。
だって…雨に濡れているのにひまわりみたいに、リュカみたいに俯いたりしてないもの。
むしろ輝いてるように見える。とっても綺麗。どういう風にかは…わからない。
比喩表現っていうのが見つからないぐらいとっても綺麗。
雨にうたれても綺麗に美しく輝く…そんな紫陽花をみて何だか嬉しくなった。
そうだよ。雨って全部悪いって訳じゃないんだって。
紫陽花は雨にうたれてるのに、なぜかリュカだけ雨が当たらなくなった。
はっとして後ろを振り向いてみれば、黄色と青の傘をリュカの頭の上に掲げるネスの姿があった。

「…もう…心配したよ…雨降っても、リュカったら帰ってこないんだもん…」

それはそれは心配していたらしく、リュカを見つけた途端に安堵の笑みを浮かべた。
片手にはタオルを持っていた。きっとリュカは傘を持ってないとわかってたから…

「ありがとう…。」

濡れた顔とかを、持って来てくれたタオルで拭った。
リュカが濡れないようにネスが傘をさしてくれてるけど、体の一部が収まりきれずに濡れていく。

「ネスも濡れちゃうよ…?」
「いいの。リュカの方がもっと濡れてるんだから、これくらい我慢しなきゃ。」

やっぱり…リュカには優しい…。一つ気になったのは、傘は一つしかないのだろうか…。

「傘…一つしかないの?」

それを聞いた途端、ネスはあっ!とした顔をする。…忘れたんだ…

「僕はいいからネスがさしてなよ。傘を忘れた僕が悪いから…」
「だ〜め!半分ずつ入れば濡れないでしょ?」
「相合い傘だよぉ〜それ!」
「いいじゃん!男同士なんだから。」

ネスは軽く言うけど、リュカはなんだか恥ずかしいみたい。
傘に当たる雫が聞こえなくなった。
ネスは傘をどけると、いじわるな雲がいなくなって、太陽が出てきた。

「わぁ〜…!リュカ、見て!」

果てしなく広い空に、大きな虹が見えた。
こんな素敵な世界が見られるのも、雨のおかげだって、今日初めてわかった。






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