とりあえず必死の説得により手錠は免れた宮迫さん。みんなでカフェに戻った。
千夏さんも丁度そこのカフェで人と待ち合わせだったらしい。
でも…誰と?
◇13◇
「今日はパパとママとメイでクリスマスの買い物をしにきたんだよ〜!」
「え…?」
千夏さんがママ…じゃあパパは?
「あ、来た来た!パパ〜!」
「えっ!?!」
笛吹さん!?!
「な…なんでお前らが…」
「いや…ちょっとヤボ用で…」
「ふんっ…どうせまた探偵に頼んだんだろう。」
「ま…そんなとこ」
「ったく…まぁ、今日は見逃してやろう」
「…………」
「千夏!!」
「?あぁ…忍…」
「お前…なんで…が…がき…が…」
「ガキじゃない。メイ!」
「あぁ…わ…わりぃ…じゃなくて!!!お前…!」
「あ、そっか知らなかったか〜…」
「お前っ…そんな軽く…!!」
「も〜!!!長い話になるしめんどくさいから弥子ちゃんに聞いて頂戴。」
「……ワカリマシタ」
「ママー、パパと話してる人だれ?」
「ん?…ああ…ママと同じ刑事さんよ。笹塚さんっていうの。」
「ふーん……」
「よろしく。メイちゃん」
「ママ…早く行こ〜…」
「え…?そ…そう?パパも来たし…いこっか」
「うん!」
「じゃあ…また…」
「バイバ〜イ!」
振り返る時の笛吹さんの勝ち誇った顔にイラっときたのは私だけじゃない、絶対。
子供を利用するなんてあの野郎…
にしても…多分笹塚さんと吾代さん…あまりメイちゃんに好かれてなかったよね…
「メイ?そんなに急いでどうしたの?あそこのカフェでランチしようと思ってたのに…」
「だって…タバコ臭いもん…」
「あ〜……」
だからディーラも嫌われてたのかしら。
彼もメイの前で吸ってはいないが喫煙者だ。
「ならどこで食べようか?」
「メイ、パフェ食べたい!!」
「なら美味しいパフェがある喫茶店へ行こうか!あそこは生クリームがいい比率で入っているんだ…」
「うん!メイ生クリーム好き!」
…タバコだけじゃないだろう。
笛吹さんは子供の心をわかっている。
メイはずっと大人ばかり…しかも男ばかりの世界にいたから…
メイに聞けば人形遊びなど一緒に付き合っているらしい。
本当にいい人だ……
「ママ!はやく行こう!」
「ええ。」
笛吹さんと目があう。
「行こうか、ママ?」
「ふふっ…ええ。パパ。」
真ん中にメイ、そして両方の手にはそれぞれ笛吹と千夏が繋がっている、そばから見たら完ぺきに幸せなクリスマス前の買い物をしている家族であった。