夜。
絶対外からでも内からでもHALの許可がなければ開けられないはずのドアがあいた。
そして千夏が寝ているベットに誰かが近づいた。
千夏は気付かず、寝ている。
だが、男はそっとベットの上に座った瞬間。
「!!?!?」
千夏は即座に起き上がりライトをつけた。
「誰!?!って結也!?」
「あはは。起こしてごめん。」
「……どうして結也が…?」
ここは電子ドラッグに操られている人しか入れないはず……どうして結也が……
「まさか……結也…!んっ!!」
「起きなきゃこんなに手荒にすることはなかったのに。」
いきなり結也にキスをされる。
「ん……ん…!!!」
結也の舌がはいってきた。きつく歯を閉じていたが、歯列を舌で這われ、力がゆるみ、容赦なく結也の舌と私の舌が絡められる。
「ん……は…ゆ……結也!!!」
必死に私は結也の体を押した。
「千夏……ごめん……会えて嬉しくてつい……」
嘘だ。
「はぁ……はぁ……結也……あなた……電子ドラッグにやられたわね?」
『その通り。』
モニターに突然HALの顔が写し出された。
「HAL…」
『彼の希望は君を犯すことなんだ。』
「!!!」
さっと私の顔が青ざめる。
「う……嘘よ…」
「嘘じゃないよ。」
「きゃっ!!」
油断していた!!
紐で両手首を縛られそのまま組み敷かれる。
「千夏を犯すこと。それが俺の願望なの。」
「や……やめて…!!やめて結也!!」
そっとやさしく千夏の額に結也は口づけ、笑顔でいった。
「やだ。」
その瞬間、パジャマをひきちぎられ、外れたボタンが飛び散る。
「いやぁあああああ!!」
結也は千夏の首筋に顔をうずめた。
◇51◇
昼
『まだ寝ているのかい?千夏。………まああれだけやれば当然か。』
「…………最低……あなたは最低よ………」
『最低?むしろ感謝してほしいね。』
「…どういう意味よ…」
『本当は匪口にはもう一つ願望があったんだ。私はその願望を叶えるだけでよかったんだよ。』
「じゃあ何で……何であんなこと……」
『匪口の願望は混沌願望。そして君に男としてみられたいという願望があったんだ。』
「男と……して…?」
『君は匪口のことを弟ぐらいにしかみていないだろう?』
「…………」
『だが、匪口は違った。君を女としてずっとみていたんだよ?』
「まさか……そんな…」
『君はもう少し自分の美しさに自覚をもったほうがいいよ。自覚がないというのは相手にとって残酷だ。』
「…………」
『とにかく、これで匪口は残す一つの願望を叶えるために集中できる…それではさようなら千夏。』
「……どういうこと?」
『私は引越しするのだよ。君そっくりの電人、千夏とね。』
「………はっ……んで。私はいつここを出られるの?」
『ネウロを殺してからさ。ネウロと引き換えに君は自由を得る。』
「………そんな自由いらないわ。」
『くっくっくっ……君に拒否権はないよ……』
プツンー……
HALは画面から消えた。