ここはどこ………?
闇がおおいつくしていて怖い………
『1と0の狭間へようこそ千夏』
「……は?何を言っているの?」
『さて………まずは君の体がここの世界に馴染んでくれなければいけないな。』
「馴染むって……」
『ここまで歩いてごらん?千夏』
「あんたバカにしてっ?!?」
なんと足を前にだそうとしても闇に沈むばかりだ。
「なっ!!このっ!!」
『ゆっくり時間をかけて馴染むといい……』
何なんだこの世界は………
◇46◇
「気分はどうですか?」
「大丈夫……何か……記憶をみられた気分がするだけよ。」
「これはHALがいる世界にあなたのコピーを送る装置なの。だから記憶をみられた気分になるのは当然よ。」
「……ありがと…江崎さん」
「志帆でいいわよ!!あなたはあのHALのお気に入りなんだから!!」
「ありがと……私も千夏でいいわ。…でも…お気に入りって言われてもなー…わからないのよ……私はあれと一度も会ったことがないし……」
「そうなの?」
「ええ…むしろ電人なんてはじめてよ。」
「そうなの……でも千夏、もしかして春川教授は知ってるんじゃないの?」
「春川……教授……?」
どこかで聞いたような……………
「HALは春川教授の手によってつくられたの。」
「春川教授………」
春川………春川………
「春川……英輔……」
「あ!それ教授のフルネームよ!なんだ〜やっぱり知ってるじゃん。」
「刹那姉ちゃん……」
『ああ、やっと動けるようになったようだね』
「く……な……なんとかね……。」
『では千夏、あっちの方向をみろ。』
「え………」
HALが指差す方向がいきなりまばゆい光にてらされた。
「あ……な………」
『この私と春川が作ったプログラムは1の世界でみるより1と0の狭間の世界でみたほうがより強力に効くんだよ………』
「ああぁあぁあああ!!」
何カガ…私ノ感情ノ何カガ膨レ上ガル……
『成る程……君の願望は…………か。珍しいな……』
「…………別にー…普通でしょ?」
『くくく………さて……君をお披露目するのはまだ先だ。まず君と刹那との思い出を見せてくれ。』
「……どうぞお好きなように……」
場所はかわって警視庁…ディーラが笛吹らに呼び出され、会いに来ていた。
「何だよ。用事って。」
「斎藤が現在失踪中なのは知ってるな?」
「ああ。」
「我々は手掛かりがあるかもしれないと、斎藤の家を家宅捜索した。」
「ふぅん……」
「そこで押収したパソコンがロックをかけられていた。」
「ま、そりゃそうでしょ。日記とか家計簿つけてるかもしれねーし。」
「………そのパスワードを部下が解いた。そこにあったファイルのうち、一つだけさらにロックをかけられていたがまた部下が開いた。」
「…………」
「これが、そのファイルを印刷したものだ。」
そういいながら笛吹はディーラに書類を渡す。
「これはまだそのファイルの全てではないが……貴様は斎藤と同じFBI。何か心当たりがあるはずだ。
この
膨大な量のサイについてのデータに。」
ずっと無表情だったディーラが笑った。
「はっ……日本警察にすっげーハッカーがいたもんだな…あのセキュリティレベルは世界一と言っても過言じゃねーぜ?」
「そりゃどーも。」
「ふーん。お前がやったんだ。」
「うん。パスワードは厳しかったけど字数わかってたし、ロック解除もなかなか楽しかったよ。」
「ふー……仕方がない…教えてやるよ、千夏の秘密。」