「あ!笹塚さん!おはようございます」

「あぁ。」

「突然ですが弥子ちゃんって食べ物あげたら喜びますか?」

「朝からいきなりどうしたの…?」

◇09◇


「いや…ヒステリアの件で笛吹さんのお詫びもかねて何かお礼をしようと思ったのですけど思いつかなくて…前たこわさありがとうって言ってたの思い出したのです」

「んー…まあ食べ物が一番無難だと思うけど…」

「ですよね!ありがとうございます。ちなみに彼女…甘いもの好きでしょうか…?」

「多分いけると思うけどなぁ…」

「じゃあケーキにします♪」

「手作り?」

「いえ。まだ会って数回なのにいきなり手作りはちょっとなぁ…と思うので止めました。」

「俺は千夏のケーキ好きだけど?」

「あははははは…そういや昔だしましたよね…調子のって……」

「でも普通にうまかったよ。」

「あーあー!!あの時のことは忘れて下さい!!」


昔…なんと私は笹塚さんの誕生日とは知らず、その日に家庭教師を頼んでいて、慌てて何を思ったか、ホールケーキやクッキーやゼリーなど、お菓子を大量に作っり、笹塚さんを迎えたのだ。笹塚さんは美味しいと言ってくれたが明らかに作りすぎた。
結局大量に余り、笹塚さんが全部持って帰ってくれたという話。
私は他人にあげるために作るときには大量に作るくせがあるのだ。

「また作ってよ。」
「う……というか今の笹塚さんならおつまみのほうがいいでしょ?」
「あー…確かに。それが一番嬉しいかも。」
「でしょ?昨日アメリカから美味しいチーズが届いたのでいつかそれをおつまみにして飲みません?」
「ああ…でもチーズは焼酎にあうかね…」
「んー……微妙…かも……」
ほのぼのとした会話ついでにドシロート娘!のストラップを渡してから笹塚さんと別れ、刑事部へ向かう。

今日はさほど大きな事件はなく、笛吹さんと筑紫君とで色々事務的な作業をして終わった。

「さて。いくか。」
そして夕方、私は弥子ちゃんにあげるためのケーキをもち、笹塚さんに書いてもらった地図を頼りに探偵事務所へ向かった。


しかしここらへんは見覚えがある…。
まだ私が日本に帰ってきたてのころ、周辺の地形を覚えるためにここを歩いていると、確かいきなり横のビルの3階のガラスが割れ、破片がおちてきたのだ。

驚いて、そして何かの事件かと急いでそのビルに向かうと、なんととある会社の借金取り立て中で……

「あれはおもしろかったなぁ……」

私はなぜかその会社の者だと思われ、金髪の背の高い男に殴られそうになったので返り討ちにしたのだ。

そういやあの取り立て屋はどうなったのかしら……?
私は返り討ちにして以来、取り立ての会社の社長である早乙女國春に気に入られ、よく裏の情報を教えてもらっていたのだ。
だが、最近は全く連絡が来ない。
いつもは何か大きな事件があるとすぐ携帯にメールがきていたのにな……
そう昔の思い出に浸っていると、目的地に着いた。
「…………ってかここ早乙女金融と同じビル…って早乙女金融が探偵事務所に変わってる!?」

私は驚きながらもノックすると(ベルがないのだ)
「どーぞ」

と、

聞き慣れた声がした。






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