「…キミが、フェイ・ルーン?」


見上げる彼の瞳にはまるで、雨雲が掛かっているように曇っていて、何もかもに絶望しているかのようだった。
何を訪ねても黙り込んだまま。話にならない。
だからといって、僕達セカンドステージチルドレンに入れる素質がある子を見捨てる訳にはないかない。
僕は大人の様な残酷な人間にはならないと決めた。


「キミにはセカンドステージチルドレンに、フェーダに入る素質がある。僕達の所へこないか?」

「…………」

「独りは嫌だろう?僕達の所へ来れば孤独なんてものはなくなる。寂しくないんだ。同じ力を持ち、同じ孤独を背負ってきた仲間達がいる。…僕達がキミの家族になるから」

「……か、…ぞく…に、」


おいでよ、そう言って彼に微笑んだ。
何を言っても声を出さなかった彼は、家族という言葉に反応した。
キミも皆も飢えているんだ。人の温もりに。

手を差しのべれば、彼は目線を僕の掌に移したのが分かった。
彼の意思はまだ曖昧。


「フェイ、僕がキミの側にずっと居るから。…ほら、おいでよ」

「…………」


虚ろな瞳で僕を見つめる彼は、ゆっくりと僕の掌を掴んだ。
僕はにこりと笑顔を見せると、彼は曇っているその瞳から涙を流していた―――…。

その涙の理由が僕には理解が出来なくて、彼をただ見つめた。
そうしたら彼は、涙で濡れた顔で僕に向かって微笑んだ。


「…あり、がとぅ…」


そう呟いて。
こんなことでお礼を言われるなんて思ってもみなくて、僕は唖然と彼を見つめた。
彼の瞳はさっきの様な雨雲がかかったような物ではなくて、一筋の希望を見つけたようなそんな瞳をしていた。
僕の言葉だけで、ここまで笑顔になるなんて吃驚で、

僕は言葉を失った―――……。


いつからだろう。
キミがフェーダに来てから日が経つにつれて、僕には芽生える感情があった。
キミ以外見えなくなって、キミを悲しませたくなくて。
でもいつからかキミは僕にとっての道具でしかなくなったんだ。
どうしてだろうね。
いつからか、キミから笑顔が再び消えていった…。

存在価値を示すことがあのときの僕には、フェーダには正しいと思ってたんだ。

分かってる、僕のせいだ。
大切なものだと、気付けなかった。
キミが……、フェイが大切だなんて分かってたのに。


「サル、任務完了だよ。次は?」


キミがそうやって僕に従順だから、

僕はまたキミに無理を言う。
少しは逆らって欲しいんだ。やりたくないと、僕に逆らわないからまた…、
僕は間違いを犯す―――。


「フェイ、じゃあ、次は―――…、」




(またひとつでも多く間違いを犯す前に、僕は間違ってるって叫んで。)


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ガルフェイくんになる前のサルとフェイくんのお話。
記憶を消される前の関係はこんなんでもといいと思うのです(*´∇`*)



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