だなあという言い方が、けっこう好きだったりする。古典の訳で詠嘆、という文字つきで出てくるような。春が来たことだなあ、散っていくことだなあ、夕暮れだなあ。

そんな訳でいま俺は、だなあな気持ちに全力で浸れる土曜日の午後を過ごしている。(こういうの、日本語の乱れ)


「じゃま。蹴るよ」

「散歩かー?天気いいもんな、今日」

「君は誕生日に1人でかわいそうだね」

ちょっと嬉しそうな顔をして笑う雲雀のために俺は起き上がって場所を空けた。足下の方では近所のちびが草野球をしている。その向こうには川が流れている…ことだなあ。

「君はしないの?あれ」

「さっきまで実はしてたんだけど、俺が入ると相手の子らが試合になんないって言うから」

「はみ出されたんだ」

「うわ、人聞きわっるーい…」


季節はもうすぐ鯉のぼりが見える5月になる。雲雀の季節。俺はそれが待ち遠しい。その時はいっしょに、ケーキ食べたりしたい。あ、その前に寿司届けるのかな。


「背中、草ついてる」

いつもはあんなに他人のこと殴ってる手が実はこんなに優しく動くのを知ってるのは、たぶんこの町で俺1人である。払ってくれる手は本当は加減を知ってる、でもそれを隠したがる。


(‥‥ひばり、だなあ)


雲雀って本当にひばりの形をしている。それはいつも小さく俺を感激させる。
例えば、今日何の目的で散歩していたかということも含めて。


「なあ雲雀、」

1人じゃなくて2人だぜ。


やわらかい手は背中をはたいた。




君の宇宙のひみつ


Happy birthday 山本!



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