人種とかそういったの関係なく、人の地雷を踏み抜くのはやめましょう。
2011年6月4日(土)
その日は随分と雨の降りがきつい日だった。
世間一般で言うところの、折角の休日だというのに実に残念な日だと殆どの学生あたりは思うことだろう。
そしてそんな日に限って、俺の気分も最底辺を突き抜け。馬鹿らしく、モモみたいな事を言ってしまうがマントルを突き抜けるレベルで気分が急降下した。南無三。きっと生きていないでしょう。
むしろ生きていて残念だと、俺自身想像も予測も思わないような展開を迎えることだろう。
そういえば、朝から天気予報を見た後にやっている星座占いで最下位だったわ、俺。
人の神経を逆撫でする様な人に出会ってしまいますでしょう。ファイト! だってさ。占いのお姉さんがそう言ってた。
いや、ファイト! じゃねえんだわ。
せめて回避方法も一緒に提示してくれって話し。いや、マジで。
ほんと白いイヤホンから流れてくるラジオの血液型占いでも似たようなもんだった。
……いやほんと、何で占い関係で俺今日一日散々な目にあってんの? と、朝からゲンナリとした気分で開店準備をしていた。
ゴミを出している時には、すれ違いざまに塀の上を歩く黒猫を見つけてしまっては、普段はなんとも思わないだけに微妙な気持ちになるし。
いや、あの黒猫には何の罪もないんだけど。
そんなこんなで、昼休憩で商店街を歩いている時だった。
まだその時までは、何とか気持ちを持たせていたんだけどなあ。
あの、どうしようもないのと出会わなければ……。
ああでも、案外テレビとかラジオとかで目にしたり耳にしたりする星座占いとか誕生月占いとか、血液型占いとかって案外、馬鹿に出来ないもんなんだなって―――。
「すみません、アイテレビジョンの者なんですが。一つ、インタビューにお付き合い頂けますでしょうか」
「…………」
嫌なものを目の前にすると、ゲームのゲームオーバーみたいに人間って思考が真っ暗になるんだなって。
眉間にシワを寄せてしまった俺は、何も悪くははない。
……俺っていつのまに、こういう時にあいつの、エネの声が恋しく思えてしまうくらいに。
マスコミが嫌いになっちゃったんだろうな。
「いやぁ、お兄さんってさ、ここに住んでいるんでしょ? だったら、今最近ホットで人気のアイドルの―――」
……うるっさいな。
口にすることはなく。
心の内になんとか抑え込みながらも、口汚い言葉を吐き捨てながら。
つい、先日に巽からもらったうさぎの殿の編みぐるみ。実はキーホールダーの様にする為の紐がついていたから、マンションの鍵につけていてそれは今、ポケットに入っている。
かたちが崩れてしまわない程度に、俺は編みぐるみを握りしめたのだった。
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