帰ってきて早々に私を捕まえた及川がそう叫んだ。突然のクイズに頭が?で埋め尽くされた。
「何の日……、なんかあったっけ?」
「ほらな、言った通りだろ?」
「なまえそういうとこ意外と無頓着だしな」
「え、なに……?もしかして私当番忘れてた!?」
え、ウソ。気を付けてたのに!と思って指折り数えていく。洗濯は及川だし、食事は岩泉だし、……え?本当に何?思い当たる節が無いんだけど…と思っていたら岩泉が青いエプロンを畳みながら笑った。
「いや、そうじゃねーって」
「俺はちょっとショックなんですけど!なまえにとって俺は遊びだったの!?」
「出た、メンドクセー及川」
「ほっとこ、なまえ。それよりはい、ここ座って」
なんだか面倒なことを言い出した及川に、花巻が突っ込んだ。2人がぎゃあぎゃあ言っているうちに松川に手を引かれて椅子に座る。何がなんだかわからないまま、呆然としていたら岩泉がキッチンからケーキを持ってきた。
え?え?と疑問が尽きなくて、岩泉と肩に手を置く松川を交互に見る。いつの間にか言い合いをやめた及川と花巻がいつもの定位置に座った。
「今日は俺たちとなまえちゃんが付き合い始めた日でーす!」
「つーわけで、1周年を記念してケーキ買ってきたから食おーぜ」
及川と花巻がドヤァ、と笑っているのを見て、そうだった、と思い出だした。そう丁度1年前のこの日、この4人と付き合いだしたんだった。そっか、もう1年経ったんだ。
「いつも一緒にいてくれてサンキューな」
「俺ら全員、選んでくれてありがと、なまえ」
岩泉と松川にお礼を言われる。その言葉が無性に嬉しくなって、思わず後ろにいた松川に抱き着いた。ずっりい!という花巻の声が聞こえる。ああ、私こいつらにとって餌だと思ってたけど、なんだかんだ愛されてるのかも。
そうだったら良いな、と思ってぎゅうと強く抱きしめた。嬉しそうな雰囲気で背中に腕を回してくる松川と、喚く3人。順番に愛を分けてあげるから、もう少し待ってね、と内心で笑った。