「ただい、ま、ァ?」
「あ、侑。おかえり〜」

名前の肌が、赤い。
リビングでなんやクリームを塗っている名前におかえり、って迎えられたまではよかった。問題は振り返った名前のほっぺと腕が赤くなっとったことや。

は???赤い???なんで!?!?

お、おおお俺の!俺の!最推しに!一体なにが!!
どさり、と肩に掛けていたはずのエナメルが床に落ちた。かばんを足で蹴飛ばしながらゆっくり名前に近づく。

「ァ、アア……」
「ど、どしたの侑……、カオナシみたいになってる……けど……こわ」
「アアアアアア名前の白い肌がアアアアア!!!」

侑うっさいわ!というオカンの声が聞こえた気ぃしたけど、知らん。そんなことより名前や!!日焼けしとるやないか!!!なんでや!!!こんなに赤くなって!!痛わしい!

「もう大げさだよ〜、今日ね外で野球部の応援があったから、そのと」
「アアアアア名前の白い肌がアアアアア!!!」
「ちょっと日焼け止め塗るの忘」
「イヤヤアアアア俺の名前がアアアアア!!」
「侑、ちょっとお姉ちゃんの話聞こうか……」

ほか、他の場所は大丈夫なんやろか!?とチェックをしていく。そんな、俺の最推しが!!太陽に痛め付けられるなんてホンマ許さんぞ太陽!!

見ろこんなに真っ赤になってもうて……可哀想に……できることなら変わってやりたい……!日焼けだけ移せんのやろか!?と思っとったら名前が落ち着け、と頭撫でてくれた。ふぐぁ……と変な声が出てて名前の足元に踞る。そんなん不意打ちやん……無理〜〜〜!

「あ、治、おかえり!ねえ、ちょっと侑がおかしく」
「う、嘘や……名前の……白い肌が……」
「お前もかブルータス」

サムが帰って来て同じことを言いよった。せやな。やっぱお前もそう思うやろ。最推しの日焼けは大事件なんやで名前!!!!





「ねえ、治、侑……お姉ちゃんが悪かったから……もう日焼け対策ばっちりにするから……」
「うっうっ……そうしてくれや……ちゃんとお肌に合ったやつ使こてな……」
「せやで……ただでさえ名前のお肌は敏感肌なんやから……」
「弟たちの美意識が高い……」

当たり前や。俺らは人類の宝である名前のふわふわで真珠のような肌を守らなあかんのやぞ??変なもん使こて名前の肌が荒れたらどないすんねん。地球滅亡や。そら意識も高くなるわ。

内心で同じことを思っているだろうサムは真顔でせっせと名前の肌に保湿クリームを塗っている。おいさすがに足は許さへんぞ。

美意識言うけどな、名前は薬局行ったら敏感肌コーナーしかいかんやん。

なんなら使こてる化粧水チェックして女子に評判聞いたしインストでも調べた。これでトラブルの多いやつやったら即説得のうえ廃棄や。名前に危険なモン使わす訳にはいかん。

「気にしすぎだって。治も侑も日焼けするじゃん」
「俺らはええねん。男やし。女の子は体型とかお洒落とか気にするやろ。それと一緒や、一緒」
「せやで。名前の肌が荒れたら俺らの心も大荒れやねん」
「そう…………なの?かな?(どうしよう何言ってるか全然わからない)」

首を傾げるなまえが可愛すぎて顔を覆った。あかん、名前はなんも分かってへん。そのお肌は人類の宝やぞ??
名前が分かってくれんのなら、かくなるうえは泣き落としや……。めそめそ顔を覆ったら名前が焦ったように俺の名前を呼んだ。おいクソサム死んだ魚みたいな目で俺のこと見んなや。

「日焼け止めは塗るし、帽子もちゃんと被るから……」
「ホンマやな?絶対やで?」
「嘘ついたら針……エッ針???」
「あっなんか宇宙猫みたいな顔してるよ考えるのやめよ侑!ちゃんとするから!ね!?」
「ヒャイ」

針飲ます??ア?俺の推しなにしとんねん、と思ったら名前に、一回やめよ?と困ったようなはにかみ笑顔を向けられた。そんなんもう言うこと聞くしかないやんな??やめます〜〜〜〜!

今日も推しがかわええな、と思っとたら名前のが俺らの腕にぴた、と自分の腕を当てた。俺らより熱くてやわっこい肌に一瞬意識が宇宙に飛んだ。

「侑も治も肌冷たくてきもちいい〜〜〜」
「名前、いつもより熱なっとるな」
「あ。うん。なんか熱持っちゃって。これでも冷やしたんだけど真っ赤でちょっとヒリヒリする」
「いたそうや……」

はあ〜〜〜〜出来ることならほんま変わりたいわ〜〜〜。どうやったら最推しの痛みを受けとれんのやろか。北さんなら知ってそうやな……。

「バレー部は屋内だから焼けないもんね。角名くんとか真っ白でびっくりしたよ〜」
「アラン君は真っ黒やけどな」
「ジグロやボケ」

つまらんこと言いなや、とサムに突っ込まれる。ふふ、と名前が笑ってもうそれだけでお腹いっぱいや〜〜!!はあ〜〜〜〜〜すき!!!!

そうサムと2人で悶えとったら、次の瞬間名前がとんでもない爆弾を落としてきよった。

「あ。でも角名くんお腹ちゃんと腹筋割れてるし硬くてすごいなって思った!」


地獄。


地獄や。なんて??名前今なんて言うたん??腹筋が??なんやて??
にこにこしとる場合ちゃうで??なあ今なんて??

「み、見たんか……角名の……体を……」
「え、あ、うん」
「い、いつや……」
「水道で会ったとき!流れで腹筋さわっていい?って聞いたら触らせてくれてね!硬くてびっくりした!」

にこにこ笑う名前に罪はない。せやな。腹筋硬いよな。触ってみたいよな。女子は筋肉に憧れあるよな。好奇心旺盛な名前も好き。むっちゃ好き。

でもな!!そんなん俺に言うて!?!?百歩譲って治やろ!!なんでよりによって角名やねん!!

「はアアアアアア!?あのクソチベスナ動物園放り込んだろかああああ!!なに名前に手ェ出しとんじゃアアアアア!!!」
「名前、名前、怖いことなかったか??アカンで??俺ら以外の奴みんな猿やねんから気を付けんと!!!」
「それ角名くんも同じこと言ってたよ」

プッツン。音がした。
スッ、と感情が限界を突破して、なんや笑けてくるわ。

「フッフ……よし殺す」
「程々にね〜(男子殺す発言しがちだしそれ言えるほどの仲の良さご馳走さまです〜〜〜!!)」


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -