待て!話せばわかる!

「マジかよ」
「どしたの名前」

思わず漏れた言葉は脱衣所で服を脱いだ五条先生に拾われた。やべ、聞かれた。そう思ってももう遅い。じろじろと俺を見てくる五条先生の視線から逃げるべく、俺の視線も下へ向ける。いやなんで俺下向いた??目に入るだろうがよ、五条先生の悟くんが!

「なになに〜?僕のことじっと見ちゃって、照れちゃう」
「いや、別に、なんでもないっす。はい」

言えるか??五条先生のイチモツがデカすぎて慄いているなんて。

きっかけは五条先生の突然の思い付きだった。
名前ってばまだ僕にちょっと遠慮気味だよねえ、こんなに可愛がってあげてるのに。よし、ここは男同士、親睦を深めるには裸の付き合いでしょ!以上。

自分で言い出して勝手に結論を出した五条先生によって、俺は強制的に一緒にお風呂に入らされているのである。解せない。
いやまあ裸の付き合い的なアレは百歩譲っても良いとして、なんで俺だけなの?ねえ伏黒、お前いつの間に逃げたわけ??俺を生贄にトラップカード発動するのやめて??

そう視線を逸らすついでに思考もブレブレになる俺を見て先生が何かを察したらしい。でしょうね。ミスったとはいえ視線があからさまでしたしね。死にたい。ひとつ言っていいです?俺は男のイチモツに興味は全くねえーーーーの!わかる先生!?

抗議の意味を含めて、いつの間にか俺の正面に来た先生に視線だけを向ける。いや身長190ってすげえな。つーか、そ、そんなに俺のことじろじろ見ないで……!流石に恥ずかしすぎるんですけど!!
さっ、とタオルで前を隠せば先生は何を思ったか、めちゃくちゃいい笑顔を浮かべた。は??殺意の予感しかねえ。

「まあまあ、これから成長期だし」
「どこ見て言ってんの!?先生俺めっちゃ傷ついたんですけど!マジで!!」

どちゃくそ煽るじゃん!?くっそ〜〜〜〜!!腹立つ!!俺が小さいんじゃなくて、先生がでけえの!!俺は!小さくねえ!!

つーか、顔も良くてアレもでけえってなんなの??神は二物を与えすぎじゃない??一個くらい俺にくれても良くない??なんなの?俺いつの間に天与呪縛貰ったの?その割に俺は何が秀でてるの?普通のDK過ぎん?
なんもないならせめて筋肉ぐらいくれよ!!俺は服の上からでも分かってしまうような夏油先生のマッチョボディが欲しい!だって筋肉は裏切らないから!!

そうぷすぷす腹を立てていたら、急に五条先生の指先が俺の体に触れた。つつ、と胸板をなぞるような動きにぞわりと背中に何かが駆け抜ける。なになになに!?

「それにしても筋肉もないねえ……あんまり付かないタイプかな」
「ちょ、せんせ……さ、さわん、ひぅっ」

うおああああ変な声でたあああ!!えっ??今の俺の声!?嘘だろ!?はずかしい殺してくれ!!女の子じゃねーんだぞ!どっから声出てきた!?仕事しろよ俺の喉仏!!

「へえ……随分可愛い声出すんだね、名前ってさ。女の子みたい」
「おおおおお落ち着いて、先生、ちが、違うの!違うんです!事故、そうこれは事故!!」

じりじり近寄って来る五条先生から交代すれば背中が棚にぶつかる感覚。なにこれなにこれ姉貴のBL漫画じゃねーんですけど!?やべえ!逃げ場isどこ!?
えっ、待ってねえ五条先生なんで俺の両側に手着くの??どうして?ねえなにその表情!?

「待って!話せばわかる!!」
「名前、それフラグだって」

結局、俺は悪魔のようにけらけら笑う五条先生そのまま体中を擽られて、文字通り裸の付き合い(意味深)をすることになった。無論、俺の人生の汚点だと言っておく。畜生だれか俺の記憶を消してくれ!!