フェイクラ(キル)/キャラ崩壊シリーズ

いつもお世話になっている澪さんに捧げます!
サイト2周年おめでとうございます(^^)





やたら広いゲームセンターの騒がしい店内
後ろで絶え間なく流れる爆音を背にしながら

フェイタンは一人で歩いていた。

暇だから(団長が必死に稼いだお金を使って)どこかへ行こうという同僚達の誘いに乗ってわざわざついて来てやったのだが

同僚達を無視してうろうろ巡回している内に
どうやら本当にはぐれてしまったらしい。


フェイタン「いい大人達が迷子なんて情けないね。どこいるかあいつら」


何故だかここはとてつもなく広い。
そして迷惑なことに圏外である。

中々見つからない迷子の同僚達にイライラが募る。

青筋を浮かべながら店内を歩き回り
曲に合わせて太鼓を叩く某ゲームの前を通りかかった時だった。


クラピカ「うわぁぁぁ!何故勝てないんだぁぁぁ!!」

キルア「10連勝やっりー♪」

ク「よし、もう一回やるぞ」

キ「いいよ。なんの曲?」

ク「アンパンマンだ!」


見慣れた金髪と銀髪が太鼓を叩いていた。


フ「………」


フェイタンは足早でその場を去る。

一人でいるところを見られたくないとか
迷子だと思われたくないとか

別にそういうわけではない。
断じてそういうわけではないのである。


しかし…


フ(鎖野郎…今日は一人じゃないね)


足早でその場を去ろうとしながらも
横目でその姿をずっと捉えていた。


ク「何でここで連打が出てくるんだぁぁぁぁっ」ドンドンドンっ


鎖野郎は引くほどリズムに乗れていないようだった。


―10分後―


フ「あいつら…どこいるか」


同僚達は未だに見つからない。
気の短いフェイタンはそろそろ限界を迎えようとしていて…


近くにあったゴミ箱を蹴りつける。


フ「帰たら全員フルボコよ!!!」


フルボッコが言えないフェイタンだった。


ク「……ルアー…どこだー?」


ふと、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


フ(この声…)


足を止めて周りを見渡してみる。

ぐるりと首を回転させる途中
一点を見つめたフェイタンの首がぴたりと止まる。


ク「キルアー、どこだー?私はここだぞー」


人混みに押されそうになりながら

困ったような表情を浮かべて叫んでいる金髪がいた。

先ほど太鼓ゲームにて
天才的なリズム音痴っぷりを見せつけていた鎖野郎である。


フ「あいつ…何してるか」


自分にしか聞こえない声で呟いて

フェイタンは再び歩き出す。



ク「うう…キルア…どこに行ったのだ」


両替してくるからとキルアがその場を離れ、しばらくじっとしていたのだが


偶然前を通りかかった可愛い可愛いぬいぐるみ(※中身はアルバイトのお兄さん)に目を奪われて

ふらふらとついていってしまった結果

元の場所に戻ってきた時には既に
キルアの姿を見失ってしまっていた。


ク「あのぬいぐるみ…頭が取れたのだよ…」


可愛いぬいぐるみが人気の少ない通路に入り

自ら自分の首を引っこ抜き

中から普通の頭が出てきた衝撃的な瞬間がはっきりと蘇る。

それはクラピカが思い描いていた夢が一瞬にして壊れてしまった瞬間でもあった。

世の中には受け入れたくないこともある。

その結果


ク「違う、あれは幻覚だ。そうだ幻覚に違いない。きっと疲れているのだろう」


何とも無理やりな駄々をこねてしまうことになるのだ。

足を止めていても仕方がない。

クラピカは大きく息を吐くと、再び足を踏み出した。


ク「キルアー!どこ…うわぁっ!」

突然後ろから腕を引かれた。
クラピカは慌てて振り返る。

ク「い、いきなり何をする…あ」


見知った金の瞳と目が合った。


フ「……」

ク「……」

フ「……」

ク「…スフィ

フ「フェイタンよ」

ク「すまないな」


―5分後―

二人は肩を並べて歩いていた。

ク「お前、一人なのか?友達がいないのか?」

フ「うるさいね。フィンクス達とはぐれたから探してやてるよ」

ク「要するにお前は迷子なのだな」

フ「何言てるか。迷子なのあいつらよ。ワタシ探してやてるね」

ク「うん…そうなのか…うん…」


色々と突っ込みたいのは山々なのだが
こいつにはプライドがあるらしい。

そっとしておいてやろう。


フ「お前こそ一人で何してるか?」

ク「ああ、キルアを探しているのだよ!はぐれてしまってな。お前、銀髪で猫みたいで小さくてああでもお前よりかは大きいか。そんな可愛いやつを見なかったか?それがキルアなんだが」

フ「要するにお前迷子か」

ク「何を言う!迷子なのはキルアだ!私は探してやっているのだよ!」

フ「……」

突っ込むのがめんどくさい。
ここで突っ込めば確実に反論してくるだろう。

面倒なことになりそうだから黙っておいてやる。


ク「しかし一人で探すよりも二人で探した方がお互い心強いのではないか?」

フ「それもそうね」

ク「私も手伝ってやるぞ。一緒に来ているお前の同僚達はスフィンクスとドンキホーテか?」

フ「フィンクスとシャルナークよ」


鎖野郎は団員達の名前をきちんと覚えない主義らしい。


ク「こんな時は迷子センターに行けばいいのではないか?放送してもらえばすぐに見つかると思うぞ」

フ「それもそうね。早く行くよ」


ー数分後ー

フ「……」スタスタッ

ク「……」スタスタッ

二人は無言で歩いていた。

ク「……」

フ「……」

ク「…なぁフェイタン」

クラピカがふいに口を開く。

ク「私達は迷子センターに向かっているんだよな?」

フ「そうね」

ク「迷子センターってどこにあるんだ?」

フ「知らないね」

ク「私達はどの方向に向かって歩いているんだ?」

フ「知らないね」

ク「……」

フ「……」

ク・フ「 」


あいにく二人は方向音痴なのである。


ク「何が世界最大級のゲームセンターだ!ただ無駄に広いだけじゃないかー!」ベシベシッ

フ「ゲームセンター広くする意味ないよ!経営者頭飛んでるね!」ボコォッ

近くのゴミ箱に八つ当たりする二人


小さな子供「ママー。あのお兄ちゃん達ゴミ箱蹴ってるよー」

母親「見ちゃいけません」

小さな子供「制服着たお姉ちゃんに怒られてるよー」

母親「だから見ちゃいけません」



ーもぐら叩きコーナーにてー

ク「うわぁー…可愛いのだよー//」ぽわぁん


先ほど店員さんにこっぴどく怒られてしょぼくれていたクラピカだったのだが


無数の穴から飛び出てくるなんとなくムカつく顔をしたもぐら達を見つけて、瞳をきらきらと輝かせていた。

フ「やてみればいいね」

ク「早速やってみるぞ!」


ー数分後ー

フ「お前下手すぎるよ」

ク「あんなに可愛いもぐら達を容赦なく殴るだなんて良心が痛むじゃないか…」

フ「もぐらを別なやつだと思えばいいよ」

ク「別なやつ?」

フ「お前が殴りたい奴だと思えばいいね」

ク「おおっ。変態ストーカー(クロロ)だと思えばいいのだな!」


ーさらに数分後ー

店員A「おめでとうございます!開店以来の高スコアです!!」

客A「すっげー…ノーミスだってよ」

客B「超高速の一番難しいやつでノーミスって神の領域だよな」

客C「すごいわね。余程訓練したのかしら」


開店以来の功績を修めたクラピカは
大々的に称えられていた。


ク「よく分からないが景品をたくさん貰ったのだよー♪♪変態ストーカー(クロロ)だって役に立つ時はあるんだな!」


フ「 」


その変態ストーカー(クロロ)とやらは
某凄腕暗殺者から課せられた腕相撲の罰ゲームと兼ねて

マフィアの男達に囚われた鎖野郎を助けるために(※全ては壁の修理費を団長から巻き上げるための鎖野郎の自作自演)
団員達に借金をしてまで鎖野郎の身代金として支払った(ぼったくられた)5000万ジェニーを一刻も早く返そうと


今頃は必死になって働いているはずなのに…
へとへとになりながら帰ってきて「ああ、とっとと稼いで早くクラピカの護衛(ストーカー)がしたい」だなんて毎日毎日言っているのに…



ク「あいつを殴っていると思えば清々しいな!生まれて初めてあいつの存在に感謝したぞ!」


フ「 」


自分達のリーダーが色々と不憫すぎて
何も言えないフェイタンだった。


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