※キャラ崩壊シリーズです
ナチュラルにアルカでてくる&ゾル家兄弟仲良しなのでネタバレ等苦手な方はご注意ください



イルミ「ねぇキル、なんでそんなに嬉しそうなの?」


イルミはいつも通りの能面フェイスで
先ほどから嬉しそうににやにやしているキルアに話しかけた。


キルア「別にー。イル兄には関係ないだろ」

イ「うーん…」


キルアのそんな顔が見られるのは嬉しいのだけれど
どうも腑に落ちない。

キルアの脳内に誰かの存在が侵食している気がするのだ。
根拠はどこにもないけれど、暗殺者のカンってやつなのである。

イ「……」

重度のブラコン(※無自覚)であるイルミにとって
どこの誰かも知らない輩が大事な弟の思考に邪魔をしているという腹立たしい事実に黙っておけるはずがない。

一体どこのどいつだそんな邪魔者は…
今すぐ殺人針をぶっ刺してやる。

未だにご機嫌なキルアから
輩の名前を聞き出そうとした時だった。


突如インターホンが鳴り響いたのである。




「キールーアくん、あーそびーましょー」




やたら大きな声だった。

ゾルディック家のインターホンを堂々と鳴らすだなんて随分と肝が据わっているやつだと思う。

そんなことをしてしまえばゾルディック家自慢の凶悪番犬であるミケが反応して
訪問者を食い殺してしまうからだ。

要するにあれだ、
この訪問者は馬鹿なのだ。

しかしこの声には聞き覚えがあった。


ふと、ご機嫌だった弟が慌てだす。
寝そべっていたソファーから飛び起きて
光の速さで部屋を出て行った。
目にも終えないスピードで表口へと向かったのである。




キ「ちょっとぉぉぉーーー!なに普通にインターホン鳴らしてんだよーーー!?そんなことしたらミケに食べられちゃうんだから迎えに行くまで待っててって言ったじゃんクラピカァァァァァァァァァァァーーー!!!!!」




聞き覚えのあるその声は
紛れもなく某金髪のものだったのである。

イ「彼、遊びにくるんだ。今日」


仕事が休みで良かった。
イルミは無意識にそんなことを考えていた。



無我夢中に長い廊下を走り抜け
勢いそのままに重い扉を開け

息を切らしたキルアが最初に目にしたものは

侵入者と見なしたクラピカを噛み殺そうと大口を開けてクラピカに襲いかかるミケと


クラピカ「1、2、3…あ、右の犬歯も危ういな。駄目だぞ、歯磨きはきちんとしないといけないんだぞ」


ミケの虫歯を数えているクラピカがいた。


ー数分後ー

キ「危なかった。もうっ、 なんで普通に来たんだよ!?すげー焦ったじゃん」

ク「ハロウィンにあやかってサプライズをしようと思ったのだよ!」

キ「ハロウィンは普通に過ぎたし、あの状況でミケの虫歯を数えていたってことが何よりのサプライズだよ」

間一髪でミケとクラピカとの間に入り
ゾルディック家の権限を使い
ミケを大人しくさせることには成功したものの

あと3秒遅かったらどうなっていたことか

そんなことを考えたらぞっとする。

それにクラピカがここに遊びに来ることが
不本意にも家族にばれてしまった。

キ(はぁ…まぁいいか、クラピカと一緒にいれる分には間違いないし)

清々しい程に空気の読めない長男あたりが邪魔しにきませんように

リビングとは名ばかりの自分専用広場の扉を開け
クラピカを中に通し

キルアが切実にそう思った矢先



イ「や、久しぶり」



恐れていた事実がそこにはあった。



キ「なんでここにいるんだよ!?なんでごく自然にソファーでくつろいでんの!?なんでごく自然にテレビゲームなんてしちゃってんのさ!」


イ「テトリスって楽しいね」

ク「久しぶりだな。今日は仕事じゃないのか」

イ「うん。今日は休みだよ、君も休みなの?」

ク「ああ、先日ボスの髪の毛を焦がしてしまってな。ノストラード氏から君は少し頭を冷やしなさいとかなんとか言われて休暇をもらっているのだよ」

キ(……ねぇクラピカ、それってやばくない?それって…それって…)


イ「それって謹慎処分だよね」


長男はあまりにもさらりと言った。
やはり彼は空気が読めないのだった。


それにしてもボスの髪の毛を焦がしてしまう状況…

キ(一 体 ど ん な 状 況 だ よ )

気になって仕方がないキルアだった。



仲睦まじく会話をする長男三男
+金髪の訪問者

その三人の様子を
ドアに隠れて眺めている二人がいた。


カルト(あいつが…キルア兄様の…)


カルトは警戒していた。
堂々とインターホンを鳴らしたところをだけを見るとただの頭の弱い訪問者なのだが

彼は襲いかかるミケに怖気づくことをせず
挙げ句の果てには虫歯を数えていた。

あの金髪…


カ(ただものじゃ、ない…!!)



カルトは固唾を飲み込んだ。
見た目はただの金髪だが、その精神力は恐怖に値する。

いくら兄様の仲間だからって
ゾルディック家の脅威になりうる存在ならば
しっかりものの末っ子として黙っておけないのだった。


アルカ「ねぇカルトー、あのお姉さん可愛いね。あたしも遊んでもらいたいなぁ」

カ「声が大きいですよお兄様!気付かれたらどうするんです!?それにあの人は性別不明キャラなのでお姉さんではありません。ボクはお兄さんだと思います」

ア「カルトー、お腹すいたよー」

カ「玄関にクリームパンがありますから適当に食べて下さい」

ア「卵かけごはんがいいなー」

カ「自分で作ってください」

手間をかけて卵かけごはんを作るよりも
包装されたお手軽パンを選んだらしい。
アルカは玄関に向かって一直線に駆け出した。

カ(全く。食い意地が張っているんですから…)

瞳を輝かせて玄関へと突っ走る兄弟へ冷たい視線を投げかけて
カルトは部屋の中へと視線を戻す。

相も変わらず、楽しそうな三人の姿があった。


部屋の中ではイルミとクラピカがテレビ画面に向かってなにやら操作していた。
彼らはポケモンバトル真っ最中なのである。


ク「いっけーピカチュウ!体当たりだぁぁぁ」

『ピカチュウの攻撃ははずれた』

ク「なにっ!?」


イ「ピッ」


『敵のネイティオのサイコキネシス』


ク「やめろー!!ピカチュウー!!」


『ピカチュウはたおれた』


ク「うぁぁぁぁぁぁぁあああああああ」


イ「ネイティオは飛行タイプなんだから体当たりじゃなくて電気ショックとか10万ボルトとかそこら辺の電気タイプの技で仕留めるべきだよねって、さっきキルが君に教えてたよね」


キ「イルミてめぇぇぇ!いきなりサイコキネシスはねーだろ!?」


イ「え、いや、だから」


キ「クラピカ、大丈夫だよ!ポケモンセンターにいけばピカチュウ生き返るよ!」


残念ながら
ピカチュウを使うと言って聞かないクラピカが勝てるようにわざわざ飛行タイプを使ってやったイルミのさりげない気遣いが報われることはなかった。



カ「 」


天真爛漫なキルアがあのような表情を見せるのは特に珍しくはない。

しかし

カ(イルミ兄様…どうしちゃったんですか?)

イルミがあんな顔をするのは珍しい。
あんな顔といっても、いつもの無表情には変わりないのだがカルトには分かる。イルミ兄様が大好きなカルトには分かる。

イルミ兄様は今、楽しそうにしているのだ。

ギリギリと
ドアに爪を立てていく。

カ(キルア兄様だけでなくイルミ兄様まで腑抜けにしてしまうとは。やっぱりあの金髪…ただものじゃない!)

長男三男が奴の手に落ちてしまった今
頼りになるのは自分自身しかいない

奴にここを乗っ取られる前に
自分がこの窮地を救わねば…

壮大な勘違いを鵜呑みにしたド真面目な末っ子は、更に瞳を鋭く光らせた。

その瞬間

ア「カルトーー!クリームパン持ってきたよーーーー!!」

大きな声にびくりとして振り返ってみると
クリームパンを袋ごとくわえて走ってくるアルカがいた。


カ「お兄様!だから声が大きいと言ってー

言い終わる前に
アルカはカルトの横を通りすぎ

部屋の中へと駆けていた。

カ「……え?」



ア「お兄ちゃーん」がばっ

キ「おうぶっ」

イ「や、アルカ」

ク「うわぁぁぁぁんピカチュウ」

イ「いい加減泣き止んでよ。これ、あげる」

ク「これは…ピカチュウではないか!」

イ「可愛いでしょ」

ク「可愛いのだよ!針まみれなことを除けばだがな!」


ア「ねぇお兄ちゃん、あたしも一緒に遊びたいよー」

キ「アルカだったらいいよ。そんな訳でイル兄は出ていってよ!」にこっ

ク「おお!ジョウイさんの隣にいるカービィみたいな奴はなんだ?中々可愛いではないか//」

イ「ラッキーだね」

キ(さっきからなんなの何でイルミがクラピカとポケモンしてんのこれじゃキルクラじゃなくてイルクラじゃん…なんかムカつくムカつくムカつく)バチバチっ

ア「お兄ちゃん、静電気出てるよ」

キ「ふふ、アルカは気にしなくて大丈夫…。そのクリームパンどうしたの?」

ア「あ、これはね!あそこにいるカルトが…あれ、カルト?」


アルカがドアを振り返った時には既に
そこには誰もいなかった。

アルカが首を傾げる背後では

キ「くたばれイルミーーー!!」ビリビリビリっ

ついにブチ切れたキルアがイルミに飛びかかっていた。

そして、

ク「おお!本物の10万ボルトは迫力が違うな!!」

キルアの電流に瞳を輝かせている金髪がいた。




カ「アルカ兄様まで丸め込まれてしまうとは」

すぐに館から飛び出し一目散に広い庭を駆け抜けて
少し離れた所にある大木に登り、逞しい枝に腰掛けながら

カルトは双眼鏡を構えていた。

視線の先には(物理的に)火花を散らせながら長男へ飛びかかる三男の姿が写っている。

カ「あいつ、兄様達に喧嘩をさせてその隙を狙うつもりか…!」

なんとも意地汚いやつめ。
カルトは双眼鏡を握りしめた。

カ「そういえばさっきから金髪の姿が…あれ?」

「おーい」

カ「?」

下から声が聞こえ
訝しげに双眼鏡を下げると

ク「そんな高い所に登って怖くないのかー?」

カ「 」


部屋にいるはずの金髪がそこにいた。



ーゾル家館内ー

キ「あれ、クラピカは?」

ア「分かんない!」

キ「 え 」



ーゾル家の庭ー


カ「なんでここにいるんですか!?」

ク「ボスから電話が入ってな。電波がいい方へ歩いていたらここに来てしまったのだよ」

カ「どうしてそうなるんですか」

元いた場所からここまで
軽く3キロは離れている。
どんだけ足が速いんだこいつは。


ク「ここまで来たのはいいものの、元いた場所に帰れなくなってしまってな。申し訳ないのだが道順を教えて欲しいのだよ」

カ「ああ…まぁ、うちの庭は広いですから迷うのは仕方ないのかもしれませんね。ここから館までは直線距離で約3.25mあります。まずは目の前の道を真っ直ぐ歩いて30mほど先に分かれ道がありますからそこを右折してさらに歩いて三本ある薔薇の木が見えて来た所に落とし穴のトラップがありますが三本目の幹を4回叩くと解除できますので解除した後に進んで下さい。更に直進して階段を登り、入り組んだ小道に入りますので右左右右左右の順で進んで下さい。小道を抜ければ使用人小屋に続く大きな道に出ますのでそこを真っ直ぐ歩いて途中に使用人小屋がありますが無視して更に進むとイルミ兄様が仕掛けたトラップがありますが合言葉を言えば解除できます。合言葉は「スーパーアジエンス」です。さらに直進すると館に着きます。ミケが見張っている表口から入るのは至難の技ですので裏口から入ってください。」

ク「 」

カ「どうしたのです?」

ク「いや…あの、」

自分には、そんなややこしい道を通ってここまで来た覚えはないのだが。

どうしよう…


帰れる気がしない。



ーゾル家館内ー


キ「どうすんだよ…もしもクラピカが迷子になったりなんかしてたら笑えないよ!」

ゾルディック家では兄弟たちの訓練も兼ねて様々な危険なトラップが仕掛けられている。

そのうちのどれかにクラピカが引っかかってしまうことを考えるだけで眩暈がした。

ア「大丈夫だよお兄ちゃん。この部屋は目立つしそこまで離れてないだろうし。ここいらで迷子になるなんて、そうとうな方向音痴じゃないと不可能だよ」

キ「クラピカはその不可能を可能にする方向音痴なんだよ」

キルアはイルミを睨みつけた。

キ「そもそもイル兄が悪いんだかんな!クラピカとべたべたして…ちょ、イル兄聞いてんの!?」

当のイルミは涼しげな顔で
携帯電話を操作していた。
やがてトランシーバーを取り出した。

キ「?」

やがてイルミが音量を調節したらしいトランシーバーから、雑音とともに誰かの声らしきものが聞こえてくる。

『ちょ…ちが…直線…た…でしょ』

『そ…な…覚えら…ないではないか』

イルミはさらに機械を操作する。
どういうからくりを使ったのか
雑音のないクリアな音声が聞こえだす。

『違うー!右折ですってば!!そ、そこを踏んではいけません…あっ』

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ鉄球が落ちてきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

『きゃぁぁぁぁぁこっちに来ないでー!!』


キ「 」

イ「彼は今、カルトと一緒にいるらしいね。なら安心なんじゃない?」

キ「ねぇイル兄…これって」

イ「さっき渡したピカチュウの中にGPSと小型無線機付けてたんだ。だから彼が今どこにいるかとか普通に分かるよ」

キ「 」

言葉が出ない。
普段ならイルミをぶっ飛ばし、クラピカの元に駆け寄るはずのキルアなのだが

クラピカの置かれている環境があまりにもアレすぎて言葉がでない。


イ「もしもーし、聞こえる?」

『うわあ!ピカチュウが喋ったぞ!!悪いが今は忙しいのだよ』

イ「何を勘違いしてるか知らないけどカルトに案内してもらいなよ。君の学習スキルじゃ日がくれてもここには辿りつけないから」

『心配無用なのだよ!私は方向音痴では…うわっ』

『ちょ、走るのやめて止まってください…そこ真っ直ぐ行っちゃ駄目ですそっちには吹矢のトラップがあるので止まってください………だから止まれっつってんだろ鎖馬鹿!!!!』

『誰が馬鹿だ!私はクラピカだ!うぶぉっ』

『何どうでもいい木にぶつかってんですか!今どんな状況か分かってるんです!?鉄球が迫ってるんですよ!?わ!吹矢が!!ほら立って!』

『大丈夫だ…私は針には耐性が』

『そういう問題じゃないですから!』

『うわー!ピカチュウが吹っ飛んでー』

バリバリガッシャーン。

何かが砕ける音を最後に無線機からの音声はプッツリと切れ
携帯電話が示していたGPSの印はあっさりと消えた。

ア「……」

イ「……」

キ「……」

イ「壊れちゃったみたいだね。ピカチュウ」


キ「 」


バタン。


ア「お兄ちゃぁぁぁぁあぁん!!!」

いくら優秀なキルアでも
色々な感情が混ざりあって限度を超えると貧血を起こして倒れてしまうらしい。





カ「全く。どうしてボクがこんな目に…」

やっとこさ鉄球を振り切り
息もつかぬまま屋敷の中に飛び込んで

カルトは長い廊下を歩いていた。

問題の金髪はおとなしく後ろについて来ている。

最初からこうすれば早かったのだ…
まさか金髪がここまで方向音痴だとは思わなかった。

彼を混乱させたくてわざと遠回りな道筋を教えたが、歩き出してすぐにトラップに引っかかるとは…どんだけ人の話を聞かないんだこいつは。

カ「ボクの後ろを離れないで下さいよ。まだトラップはあるんですから。3分ほど歩けば元いたお部屋に戻れます」

ク「すまないな」

カ「罪悪感があるのなら最初から迷子にならないでください。全く、キルア兄様はあなたが心配で倒れたっていうし…というかどんだけ電波拾えないんですかあなたの携帯。なんで3キロも離れないと繋がらないんですか」

ク「いや…最初は調子が良かったのだが途中で切れてしまってな。電波を探してあそこまで行ってしまったのだよ」

カ「切れた?」

カルトが疑問に思って振り返り、頷いたクラピカが何かを差し出した。

画面が真っ黒な携帯電話だった。

カ「 」


ただの充電切れじゃねぇか…


ク「おかしいな。お前の携帯は通じるようだし。うーむ」


カ「あなた…本当に大丈夫ですか?」


カルトは大きなため息を吐く。

こいつが兄弟たちをたぶらかし、よからぬことを考えているのではないのかと勘くぐっていたのだが、どうやらそれは間違いらしい。

そんな大それたこと、こいつにはきっと無理だろう。

それに

ク「うお!すごいな。剥製が沢山あるのだよ!!」

広い廊下の両壁に飾られた父のコレクションに瞳を輝かせるそいつに


刃を向けたくなどないと思った。



ク「あれはなんだ?怪鳥のようだが」

カ「百舌(もず)です。といっても実在するかどうか分からない生物なので、本物かどうかは怪しいですが」

ク「百舌ってなんだ?バーガーか?」

カ「 …… 」


モスバーガーじゃねぇよ。

何上手いこと言ってんだこいつと不覚にも感心してしまった自分を呪いたい。


ク「お前の家は本当すごいな。絵本の中に出てきそうだ。」

カ「ゾルディック家の歴史は深いですから。ボクたちはそれを受け継いでいかなくてはいけないんです」

そこからカルトは堰を切ったように話し出した。

家族のこと。
自分達がいかにして育てられたかということ。
自分が思う自分の使命。

楽しそうに話していた。


ク「ふふ」

カ「何で笑うんですか」

ク「いや、お前は家族のことが本当に大事なのだな」

カ「いえ別に…ボクの役目はゾルディック家を守ることですから」

ク「だから大事なのではないか。だから守るんだろう?」

カ「ボクはただ…自分の役目を果たすべく行動しているだけです。家を継ぐのはボクじゃないし、ボクは、兄様たちには近づけないから」

ふと、淋しそうに目を伏せる。
クラピカはその幼い横顔を不思議そうに見つめていた。

カ「遠い存在の兄様たちは、ボクのことはどうだっていいんです」

ク「そんなことはないぞ」

いつしかキルアが言っていた。

イルミはウザい。
ミルキは暑苦しい。
アルカは可愛い。
カルトは真面目。

うちの兄弟はみんな性格が違うしみんな変。

カ「あの…妙にリアルで反応に困るんですけど」

ク「しかしみんながみんな、お互いを理解していると言っていた。」

カ「……」

ク「お前の誕生日にはプレゼント選びに必死に頭を悩ませていたし、可愛らしい着物を見つけるとお前の名前を出したりしていたし、キルアはお前のことを「どうでもいい」だなんて思っている節はないぞ」

カ「へぇ…」

ク「キルアだけじゃない。イルミもそうだ。ゾルディック家は代々ブラコンなのだな」

カ「イルミ兄様は異常だと思いますが」




ク「彼らはお前を愛しているのだよ」




何気ない一言で、カルトの足が止まった。
クラピカが追い抜いて、カルトの前を歩く。
カルトはその背中を黙って見つめていた。


…なにあの天然。
なにあのマイペース。

当の本人は何処吹く風だし。
無自覚すぎてちょっと怖いんだけど。


しかしどうしてだか
あの背中に飛びつきたいと思った。


兄様方もきっと、そんなあいつにやられてしまったのだろう。


カ(やっぱりあなた…厄介です)


カルトは唇を固く噛み締めた。



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