ー10分後ー


ゴ「ぜーはーぜーはー」


キ「ぜーはーぜーはー」


レ「ぜーはーぜーはー」


ク「偽物と分かっていたのだがどうしても理性を失ってしまうのだ…三人ともすまなかったな…」


イ「君って本当に手間がかかるんだね。これじゃクロロも苦労するわけだ。ん?」


プルルルルル

イルミの携帯が振動した


イ「ピッ」


電話口の声「イルミごらぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあ


イ「ピッ」

普通に切った。


イ「じゃ、親父にばれたみたいだから俺帰るね。キル、寄り道しちゃ駄目だよ。ヒソカみたいな変態についていっちゃ駄目だからね」サッ

キ「 」

ク「行ってしまった…」ぽかーん

ゴ「キルアのお父さんてあんなに大きな声出せるんだね…」

ク「ああ、キダムも真っ青だな」

レ「ボケるんならもっと分かりやすいボケにしてくれないか?」

キ「そういえば今何時?」

レ「ん?8時だぞ」

ゴ「花火が始まるのって8時きっかりだよね?」


ヒュー…
ドッカーン


背後で花火が上がる音がした。


四人「「 あ 」」


ゴ「うわぁー始まっちゃったよー」あわあわ

キ「ほらクラピカ、ダッシュで川原に行くよっ」ぐいっ

ク「ちょおっ…キルアお前よくそんなに速く走れるな!私は下駄に慣れていないのだぞっっうわぁこけるー」

キ「あーもうじゃあおんぶしてやるよ」ひょいっ


ク「お前これお姫様抱っこじゃないか!お、降ろせっ12歳に抱えられる17歳って見るからに痛々しいじゃないか!それよりお前怪力だな」


キ「今更なに言ってんだよ。神速使うからしっかり掴まってろよ」スタァッ


ク「うあぁぁぁぁあたこ焼きが逆流するぅぅぅぅーーーー」




ゴ「……キルア、足早いね」

レ「……ゾルディック家は何でもありだからな」

ゴ「それより置いてかれちゃったね、俺たち」

レ「ああ、自力で走るしかないな」

ゴ「うん」

レ「…メタボ対策とでも思おうぜ!」


ゴ「…うん」

レ「……。競争だっ!」ダッ

ゴ「うんっ!」ダッ


ー川原にてー

ゴ・レ「ぜーはーぜーはー」

キ「おうっ!遅かったな!」

レ「満面の笑みだなおい」

ゴ「はぁはぁ…キルア…なんでクラピカはキルアに膝枕されてるの?」

キ「ああ、目回して気絶しちゃったんだよ」

よく見るとクラピカの両目が渦巻きになっていた。

キ(かっ、可愛い…//)

レ「やけに嬉しそうだなお前」

よいしょっと

ゴンとレオリオはキルアの横に腰をおろした。

三人は大きな音をたてながら夜空を彩る花火を見上げていた。

ゴ「綺麗だねー。終わらないうちにクラピカも早く目を覚ませばいいのに…」

キ「まぁなー(覚めなかったら覚めないでずっとこのままだからいいんだけど…)」


ク「にんはー・・・お前だったかぁー・・・おとなしくー・・・下着をかえせー・・・むにゃむにゃ」


三人(ど ん な 夢 見 て ん だ よ )


バンバンと

次から次へと鮮やかな花火が打ち上げられる。

レ「そういえばさ、またしばらく4人揃うことはないんだよな…俺たち」

ゴ「……そうだね」

キ「……」

レオリオはキルアの膝の上で先ほどから寝言を言っているクラピカを見た。


レ「思えばこいつが一番苦労してるよな…」


レオリオの言葉にしんみりと静まり返る二人

やがてゴンが口を開いた。


ゴ「うん、俺もそう思う。マフィアの仕事っていつでも気を張らないといけないみたいだし。クラピカは口にはださないけど…」


キ「クマできてるときだって多いし…。変態(クロロ)退治もしなくちゃならないし…。」


キルアは膝の上で相変わらずむにゃむにゃ言ってるクラピカの髪をさらりと撫でた。

ク「むにゃぁ・・・キルアに何かしたら・・・許さないのだよぉー・・・」

キ(え?俺の夢見てるの??)

かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ////

顔を赤らめてバタバタしているキルアに気づかない二人は雑談をしていた。


レ「そういえばお前この前ヒソカから何か言われてなかったか?」

ゴ「うん、今度高級ホテルのスイートルームに連れてってくれるんだって」

レ「行くな。絶対に行くな」


ク「もぞっ」

キ「あ、起きた?」

ク「うーぬ、何か夢を見ていたのだよ。生憎思いだせないのだが…」

キ「きっとものすっごいいい夢だったんだよ!!」にこにこ

ヒュー
ヒュー

どっかーん


ク「…綺麗だ」ぼわーん

キ「なー」

ク「私は今日、お前と夏祭りに来て良かったぞ」

キ「内容は散々だったけどね」


(二人きりになれなかったしね)


ク「?…タンサン?」


寝起きで耳が遠いクラピカだった


ー帰り際ー

レ「じゃ、俺たちはこっちだな」

ゴ「うん、じゃあまたねっ。キルア、クラピカ」

ク「気をつけて帰るのだぞ」

キ「またなー」

ゴンとレオリオと別かれ、下駄音を響かせながら肩を並べて歩く二人。

キ(あーあ、最後まで二人きりになれなかった…本当散々な夏祭りだったなー)

小さく口を尖らせるキルア

ク「ふふぁー、未だに少しくらくらするのだよ…。全く、お前の神速とやらは本当すごいな」

片手で額を押さえるクラピカ

キ「おんぶするよ?」

ク「いや、遠慮する」

キ「ちぇー」

ク「それにしても楽しかったな」しみじみ

キ「うんそうだねー」うわの空

ク「しかし私は最後の何発かしか花火をきちんと見ていないのだな」

キ「うんそうだねー」

ク「なんなら今から二人で花火でもするか?」

キ「うんそうだねー…え?」

目を丸くして歩みを止めるキルア

ク「え、あ、嫌ならいいのだが…」

少し戸惑いながら顔を赤くして俯くクラピカ

キ「二人って…二人っきり?ゴンとかおっさんとかイルミとか変態ストーカー(クロロ)とか抜きにして??」

ク「ああ、先ほども言ったが嫌なら無理してやることはな

キ「くらぴかぁぁぁあ!//」ぎゅうっ


ク「ぬぉぉっ!どどどどどうしたのだいきなりっっ」


キルアは幸せそうに満面の笑みを浮かべながらクラピカの体にごしごし頭をすりつける。


キルア「やるよやるよやるに決まってるじゃん!あーもうよくわかんないけど今俺すっげー嬉しい//さっきまで本当にもやもやもやもやしてたけど。だって今日を楽しみにしてたのにイルミやら変態やらが邪魔してくるしおっさんとゴンまで加わってゴンの奴ちゃっかりあんたに口拭いてもらってたし正直殺意メラメラだったんだよ俺いくらゴンでも超むかついたんだからあれ雷落とさなかったのは自分でもよく耐えたと思ったよ帰ったらイルミの奴ボコボコにしてやろうと思ってたけど途中何回もむかついていっそのことあんたに放電してやろうかとか思ってたけど」


ク「そ、そんな恐ろしいことを考えていたのかお前…」ゾワッ

キ「でも全部吹っ飛んだ!!そうと決まったらどっかのコンビニ行って早く花火買おうよっ♪」ぐいっ

ク「ふふ、お前は私の腕を引くのが相当気に入ってるらしいな」

キ「当たり前じゃん!今更気づいたの?」

ク「それは光栄なことだ。たこ焼き食べるか?冷めてしまったが」

キ「うん!てゆうか神速使った時の遠心力で原型留めてないね。もんじゃ焼きになっちゃった」

ク「味には変わりないはずだぞ。爪楊枝で食べれないのが難点だけどな!」

キ「あんたって変なところでざっくりしてるよね!」


しばらく肩を震わせて笑い合っていた二人だったが

ク「なぁキルア」

不意にクラピカが口を開いた。

キ「なに?」

ク「私たちはどこへ向かっているんだ?」

キ「え?コンビニでしょ」

ク「この先にコンビニってあるのか?」

キ「ううん、知らない」

ク「……というかここはどこなんだ?」

キ「……知らない」


パタリ。二人の足が止まる


ク「私たちはめでたく迷子と言うわけだな!」にこっ

キ「うん、そうだねっ!」にこっ


………。


キル・クラ「 」



ク(やばいどうしよう明日は早番だぞボスを起こす係りだぞ遅刻でもしたら3日はパシリにされる…嫌だ、パシリは勘弁だ!この不況のご時世ノストラード氏の信用を失ってクビにでもされたら私だってあの変態プリン馬鹿と同類になってしまうぞそれだけは嫌だ絶対に嫌だぁぁー)


キ(うーん。このまま帰れなくても二人きりの時間が増えるってことだし俺はそれでもいいんだけどなー…野宿なんてことになったら襲っちゃうかも…)


そんなよからぬことを考えながら

キルアは隣りで頭を抱えて顔を青ざめさせているクラピカに話しかけた。


キ「ねぇクラピカ。このまま帰れなかったらどうする?」


ク「それは近隣の住民の方々に迷惑をかけてしまうのではないか?朝起きて路上を彷徨っている私たちを夢遊病患者と勘違いして救急車を呼ばれてしまうかもしれないぞ?そうなったら申し訳がたたないだろう」


キ「クラピカの頭の中は一体どうなってるんだろうね」

ク「お前もイルミみたいに針を使うのか!?」

キ「ごめん俺が悪かったから許してよ」


ーENDー

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