シャルクラ/シリアス


※若干の性的描写注意です








「私を、殺すのか?」


自分の腕の中に収まりながら
クラピカが恨めしげに睨んできた。


「うん。そのつもりで来たんだし」


クラピカは瞳を真っ赤に染めあげながら
自分へとあらんかぎりの殺気を放っている。


「そんな顔しないで。今の君には何もできないでしょ」


片手で携帯電話を操作すると
クラピカの腕が自分の体にしっかりと巻きついてくる。


さっきから続く屈辱的な状況に


クラピカの顔は憎しみや怒りで滾りながらも憔悴の色が浮かんでいた。


息も絶え絶えに苦しそうに肩を震わせている。


その表情はシャルナークの嗜虐心を十分に刺激した。


今の彼は手強い「鎖野郎」なんかではない。


ただの無力な操り人形だ。


シャルナークはニヤリと唇を歪めると
そのまま腕の中のクラピカを押し倒した。


「君、本当に男なの?確かめてみてもいい?」


放たれたその言葉に
クラピカの真っ赤な瞳がわずかに揺らいだ。


「なんの…つもりだ?」


「分からないほど子供じゃないよね?」


シャルナークは面白そうにしながら
クラピカのさらりとした髪を柔らかな手付きで梳いている。


彼の意図を理解したクラピカは恐怖で体を強張らせた。


それを見たシャルナークはクスリと嘲るような笑みを浮かべる。


「助けてほしい?あれ、君、俺を殺すつもりじゃなかったっけ?」


軽々と口をついてでてくる挑発を受けて
クラピカの瞳が怒りで見開かれる。


「貴様っ……!」


何かを言う前にシャルナークの唇が自分の唇を覆った。


無理矢理舌を差し込まれ
口内を蛇のように這わせていく。



気持ち悪い。



嫌悪感がみなぎり、クラピカは彼を突き放そうとした。


しかし体が動かない。


アンテナを刺されてしまっている時点で
自分の意思ではどうしようもできない。



「案外慣れてるね。初めてじゃないんだ」



唇を離したシャルナークはクラピカの服を脱がしにかかる。


「や…やめ…」


「泣いて懇願すれば?やめてあげないけど」



悔しさが込み上げて
クラピカはぎゅっと目を瞑った。


このままこの男にされるがままになってしまうのか…


唇を硬く結んで顔を背ける。


気持ちが乱れて
右手に具現化された鎖が現れたり消えたりしていた。


バグが生じた映像のようだ。




それに気がついたシャルナークは
クラピカの右手をぼんやり眺めたあと



不意に手を止めた。




クラピカはゆっくりと瞼を持ち上げて、自分にのしかかる男に恐る恐る顔を向ける。


何が起きたのか分からない…


シャルナークは無表情でクラピカの右手を凝視していた。





「その鎖で、ウヴォーを殺したんだね」





クラピカの思考が、一瞬凍結する。


能面のようなその表情は
押し倒された時よりもずっとずっと


クラピカに恐怖を与えた。


シャルナークはおもむろにクラピカの右手を取り


五本の指を自身の指と絡ませた。


そのままぐっと力を込める。



「う……あ…」



関節がミシミシと音をたてて、
クラピカは顔をしかめる。


シャルナークの力はさらに強くなっていく。


彼はこのまま自分の指を折るつもりだ…


冷や汗を滲ませながら瞳を硬く閉じて、激痛に耐えるしかない。



ふと、シャルナークの力が弱まって
指と指が離れたと思ったら


クラピカに刺さっていたアンテナが抜かれた。


体が自由を取り戻す。



「…え?…」


クラピカは驚きを隠せない。


「今日はもういいよ、解放してあげる。っていっても動揺している君はしばらくここから動けないだろうけどね。でも…」


シャルナークは仰向けのままのクラピカの両肩を掴み自分の唇をクラピカの右耳に近づけた。


息を呑むクラピカを無視して
彼の耳もとで小さな声で囁く。






「これで終わりだと思うなよ。
君の居場所はいつでも筒抜けなんだから」






あまりに冷たい声で囁かれた言葉に
クラピカの心臓が一瞬で飛び跳ねる。


シャルナークはクラピカの肩から手を離すと

ゆっくりと立ち上がった。


固まっているクラピカに

屈託のない笑顔を向ける。


「じゃ、また遊ぼうね。」


にっこりと手を振ると

そのまま背を向けて去ってしまった。





クラピカはシャルナークが言った通り、
しばらくその場から動けなかった。


金縛りにあったように体が動くことを拒み、

無意識に呼吸が乱れて、指先が小刻みに振動する。


遠ざかって行くシャルナークの背中から、目が離せない。



「逃げなければ……」


額から気持ちの悪い汗が流れる。


無意味だと分かっていても
ここから出来るだけ遠くへ逃げなければ…


シャルナークの能面のような顔が頭から離れず、深い恐怖がクラピカを覆い尽くす。


顔を真っ青に青ざめさせたまま


得体のしれない震えが全身に走り




長い間クラピカをその場へ縛り付けていた。






ーENDー



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