突然だが紅茶部に拉致監禁された。

「ふふ、こんな分かりやすい罠にかかるなんて…。なまえちゃんは可愛いね」
「なまえ先輩ごめんなさい…。英智お兄ちゃんに頼まれて僕が廊下にタオルを落としたんです。でも僕もなまえさんに紅茶部に入ってもらえたらとても嬉しいです!」
「いらっしゃいなまえ〜。だからえっちゃんは容赦しないって言ったでしょ〜?」

 ふかふかのソファに座らされ、右隣には天祥院先輩、左隣には凛月くん、そして正面には申し訳なさそうに頭を下げつつ、でも満面の笑みの創くんが優しく私の手を握った。とてもどうにかして欲しいこの状況、頼りになるのは創くんだけどこんな笑顔見せられて「悪いんだけど帰っていい?」なんて口が裂けても言えるわけがなく。陸上部のみんなが待ってるなぁ心配かけちゃうなぁなんて考えているうちに、いつの間にか天祥院先輩がお茶を用意してくれていた。そして凛月くんは私の膝を枕にして寝た。助けて誰か。

「さぁ、お茶を淹れたよ。君のために用意したんだ。遠慮せずに飲んで」
「あ、あの、天祥院先輩。お気持ちは嬉しいんですけど私今ゆっくりお茶を飲んでる場合では、あっはい頂きます」

 天祥院先輩に穏やかに微笑まれ、慌ててカップに手を伸ばした。脅されたわけではないのに、何故か私は天祥院先輩の笑みに危険を感じてしまう。もともと穏やかな人だし、怒るようなことがないから時々滲み出る有無を言わせない雰囲気が恐ろしい。創くん、よく紅茶部でやっていけてるなぁ。現時点で恐怖心を抱いているあたり、私はやはり紅茶部には入部できないと思う。



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