「お前もそろそろここでの生活にも慣れてきた頃だろう?最近どうだ?友達はできたか?つっても女子はお前一人だし何かとお騒がせな奴らが多いから苦労することもあるとは思うが、まあ気負わずにお前のペースで頑張れ。何か困ったことがあれば俺に相談してくれていいからな。だいたい保健室にいるが、たまにふらふらと校内を散歩してるから頑張って見つけてくれ。と、前置きはこのくらいにしておいて本題に入るぞ。オイオイそんな身構えなくて良いって。肩の力を抜け。よし。で、何故お前を呼び出したかと言うとだな。お前にもそろそろ部活に所属してもらおうと思う。何きょとんとしてるんだ。お前も知ってるだろ、夢ノ咲学院の生徒は全員部活に入らないといけないという校則があるのを。お前はアイドル達を指導するプロデューサーである前にこの夢ノ咲学院の生徒でもある。まずはこの学院に慣れてもらい、アイドル達のプロデュースに専念することを最優先としてこれまで何も言わなかったが、お前も軌道に乗ったみたいだし、もう自分のことにも時間をかけられるだろう。つーわけだ。どこでもいいから入部する部活を決めろ。一週間後に入部届を提出しに職員室に来いよ。話は以上だ。もう行っていいぞ」







「て、佐賀美先生に言われたんだけど、どうしよう」

 HR前に佐賀美先生に呼び出されて言われたことを昼休みにふと思い出し、一緒にお昼ご飯を食べていたTrickstarのメンバーに何気なく話した。そもそもこの学院には何の部活があったっけ。一般的な部活からマニアックな同好会まであるから、急に部活に入れと言われても悩んでしまう。フォークをがじがじと噛みながら悩んでいると、向かいの席に座っていた明星くんが目をキラキラと輝かせて身を乗り出した。

「なまえ部活に入るの!?だったらバスケ部においでよ!男だらけの中でプレイするのは難しいかもだけど、マネージャーとかならなまえならすぐ熟せると思うし!それにバスケ部にはサリ〜もいるよ!」
「そっか、明星くんも衣更くんも同じ部活だったね。氷鷹くんは演劇部、遊木くんはテニス部だっけ?」
「ああ。明星みたいに俺も是非演劇部に、と勧誘したいところだが、お前をあの変態に近付かせるわけにはいかない。なまえ、演劇部だけはやめておけ。候補に入れるな」
「ぼ、僕もなまえちゃんと一緒にテニスできたら良いなってすごく思うし、マネージャーみたいなことをして貰えたらすごくすごく幸せだけど……テニス部も結構面子が面子だからね…」
「そういえばテニス部には真を監禁してた瀬名先輩がいるんだよな。今は割と落ち着いたけど、なまえが転入してきたばかりの頃はよく突っ掛かってきてたっけ?確かに面倒だよな」
「ほら!サリ〜もこう言うんだし、バスケ部に入りなよ!」
「待て明星。他にも部活はいくらでもある。なまえがそれぞれ見て回らないと判断できないだろう」
「うう〜ん、そっかぁ」
「明星くん誘ってくれてありがとう。ゆっくり考えてみるね」

 とは言ったものの、男だらけの運動部に女子が入るのはどうなのだろう。さっき明星くんと遊木くんが言ってたマネージャーならできるかもしれないけど、それじゃあ普段のプロデュースと変わり無いしなぁ。氷鷹くんが所属してる演劇部は衣装とか舞台設営とかプロデューサーとして必要な知識をたくさん吸収できるだろうし、遊木くんのテニス部も体力作りにはちょうどいいかもしれない。二人ともあまり入部を勧めて来なかったけど、候補に入れておこうかな。何にしても、やっぱり見学してみないことにはどこに入部するか決断できない。

「とりあえず今日から順番に見学していこうかな」
「じゃあ今日はバスケ部を見学してってよ!ちょうど活動日だから!」
「そうだな。部長の守沢先輩がああだからかなり騒がしい部活だけど、実績はあるしおもしろいと思うぜ」
「順番にということはまさか演劇部にも来るのか…!?」
「て、テニス部にも!?」
「うん。演劇部もテニス部も面白そうだし」
「あの変態仮面がいるのにか!?」
「日々樹先輩のこと?もう慣れたよ」
「何だと……!?!?」
「なまえちゃん!じっくりゆっくり考えるんだよ!?実は僕、泉さんがいるからほとんど部活に顔出してないんだよね…」
「個性的な先輩がいると大変だよね、わかるわかる。うちのち〜ちゃん先輩も毎回毎回会うたびに抱きついてくるし、本当にうるさいんだよね…」
「はは、守沢先輩はスバルの苦手なタイプだもんな」
「そうなんだ?優しい先輩だけどね〜。もう少し声のボリュームを下げてほしいのはわかる」
「だよね!本当鼓膜破けそう!なまえが来たらち〜ちゃん先輩はしゃいでいつも以上にうるさいと思うから、気をつけてね」
「うん。じゃあ今日はバスケ部にお邪魔しようかな。演劇部とテニス部はいつやってるの?」
「演劇部は決まった活動日が無いな。部長がああだから、突然の思いつきで集まることが多い。まったく迷惑だ」
「テニス部も集まりが悪いと休みになったりするからわからないなぁ…。次の活動日がわかり次第すぐなまえちゃんに連絡するよ!」
「俺もわかったらすぐに連絡しよう」
「助かる〜。二人ともありがとね」
「なまえがバスケ部に決めてくれたら良いのに!俺、今以上に頑張るのにな〜〜」
「こらスバル、そうやって気軽になまえに抱きつくな。あとなまえがいなくても真面目に部活に参加しろよ」
「サリ〜ってば手厳しいなぁ」
「……なまえ。さっき、演劇部はやめておけと忠告したが撤回しよう。確かにお前がいてくれた方が俺も嬉しい。真白も喜ぶ。考えておいて欲しい」
「ぼ、僕も!なまえちゃんが入ってくれたらテニスの基礎から教えるし、い、泉さんからも守るよ!」
「う、うん。ありがとう」

 そんなこんなで入部する部活動を決めるために放課後に見学をすることになった。さて、私はどこの部活に落ち着くのだろうか。



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