泣きたがりが笑うとき3

誰もいない喫茶店でふざけた取引をもちだした高校生は速見了と言った。
許可した覚えはないが、勝手に優一と呼び出した速見に呆れながらも、すぐに飽きるだろうと放置すること数週間。

未だに飽きないのか面白がっているのか、恋人らしいメールやら電話をしてくる。
最近の高校生はマセたもんだと呆れながらも、まあ、もう少しすれば飽きるだろうと適当に返事を返す日々。

マセた、と一言で済ますにはえげつない「取引」をしてきた速見に初めこそ不信感を抱き、警戒していたもののやって来るメールは、本当にあいつなのかと思うほどの何気ない日常の会話がほとんどで、毎日のようにやって来るメールに多少の高校生らしい部分に思わずほくそえんだ。


一方の修悟の方とも和解したのか、修悟が嬉しそうに速見が恋人にちょっかいを出さいない、と今までのことを謝罪されたと報告があったときは良かったな、と一緒にジュースで祝杯をあげた。

その報告以降修悟とはアルバイト以外で会うことはなくなり、恋人と順調にいっているであろうことに両手を上げて喜んでいるといえば嘘になるけど、それでも修悟が幸せならばそれで良かったのだと言い聞かせた。



……

「優一、今日暇?」

講義が終わって帰っている途中、速見から電話があった。

時間を見れば高校も放課後になった時間みたいで、速見の電話口はガヤガヤとしている。

アルバイトや他の予定もないし、暇といえば暇だ。
そう言えば、速見は笑いながら「じゃあ、優一の家行っていい?」と聞かれた。

悪い理由はないが場所はわかるのかといえば、わかるわけないじゃん、と当然の返事を聞き、適当なところで待ち合わせすることにした。





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