対価

田嶋さんの突拍子もない提案に、場は静まり返った。

「そ、そんなことでケジメになると思っとんのか、ゴラァ!」
当然の反論が組員から飛び出す。
「御園はうちの事務所に入ってからずっと私が信頼してそばに置いてきた守り刀です。彼の能力は皆さんもご存知の通りだと思います。武闘派ではありませんが、この組でも随一頭がキレる存在です。こいつをそばに置けばこれから幾度となく命を助けられると思いますよ。」

俺は、無茶苦茶だと思った。そこまで田嶋さんに過大評価されていたとは。
客観的に考えても俺はそこまでの存在じゃないし、俺一人手放すことがケジメとして相応しいかと問われれば明らかにNOだ。
この場に、この提案を納得した雰囲気の者はおらず、今にも田嶋さんに殴りかかりそうな不満げな気がたちこめている。
この馬鹿げた提案は取り下げられ、俺諸共殺されるのであろうか…冷静にそう思った時、田嶋さんがさらに付け加えるようにこう言った。

「それだけではございませんよ。もちろん、御園の身体も皆さんのご自由になさっていただいて結構です。
私の大事な構成員の全てを差し上げるのですから、今回はこれで手打ちにしていただきたく思います。」


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