「ねえシーたん。アルバくんってかわいいよね」
何日も何日も野宿を繰り返しやっとの思いで辿り着いた次の街。その街の中心部に位置する美味しいと評判の食堂へ、今俺はシーたんと来ていた。
運ばれてきた料理は確かにおいしくて。なにより久しぶりの温かいご飯なのだ。うまいと感じない方が可笑しい。
全部の皿が空になってきた頃を見計らって、俺はずっと前から思っていた事を目の前の幼なじみへ告げる。シーたんはそんな俺の言葉を聞いたとたんに怪訝な表情をしてみせた。
「……クレア、お前眼科行ったほうがいいぞ」
「えー、そんなことないと思うんだけどなぁ」
自分の皿に盛られた料理の最後のひとかけらを咀嚼し考える。あぁそうかやっぱり。
「じゃあさじゃあさ、」
わはーと笑った俺とは対照的にシーたんは不機嫌そうな顔をしていた。それに気づきながらも、俺はそんなことお構いなしに言葉を続ける。
自分の気持ちに何一つ気づいていない、大切な幼なじみへ。
「それなら、俺がもらっちゃってもいいんだよね?」
130401