嘘吐きの後悔 | ナノ



※学パロ。
ルドルフさんやミーちゃんが普通に学校にいます。



放課後の校舎裏。
普段まばらにだが確かに人の気があるここは、今は時間も時間なため誰もいない。
そのため妙な静寂に包まれたこの空間で、僕はお目当ての人物が来るのを来るな来るなと願いながら待ち続けていた。
しかしそんな願いも、地に落ちた葉を踏みしめる音により虚しく消し去られる。一定の速度で徐々に近づくそれは僕の前で止まって。
乾いた地面を見つめたまま微動だにしかった僕は、その音を聞いて心臓が跳ね上がった。
あぁ、来ちゃったのか、来てしまったのか。
もういい覚悟を決めろ自分。
俯いたまま目を強く瞑り、大きく息をすう。


「ずっとあなたが好きでした!ぼ、僕と付き合ってきゅだっ、さい!」


あああ思いっきり噛んだ!
言ってから恥ずかしくなったのだが、……まぁいいか。
どうせ相手はあのミーちゃんなのだし、早くネタばらしでもして喜ばせて……。


「……なに言ってるんですか、あんた」


しかしそこまで考えていた自分の思考は、頭の上から降ってきた聞き慣れない声により停止させられる。あれ、おかしい。ミーちゃんこんな声してたっけ。
疑問に思った僕はそれまで俯いていた顔を正面へと向ける。そして目に入ってきたのは、汚物を見るような視線をこちらに寄越す、


「…………ええええ!」


僕のクラスの隣の隣の隣の……まぁそれくらい離れていて関わりのない、けど悪い噂はよく耳にする、シオンという人物だった。

あれ、なんでこんなことになったったんだっけ。

あまりの衝撃に途切れかけた意識を無理やり起こし考える。
確か僕は昨日同じクラスのヤヌアくん達とゲームをやっていて。それに見事敗北した僕は、その罰ゲームとして、昨日風邪で学校を休んでいたミーちゃんに告白するということを言い渡されたのだ。ちなみにミーちゃんも僕たちの友達。
流石に無理だと拒む自分に、告白と言っても普段仲良くしてくれてる友人に感謝を示すみたいな感じでやればいいとフォイフォイくんに促され。今日段取りを組んだルドルフさんの指示に従いここへ来た。
あとはミーちゃんがくるのを待っていればいいだけだった。
そう、罰ゲーム。言うなればただの度が過ぎたおふざけなのだこれは。
……それがいったいなぜこんなことに。ちゃんと姿を確認しておくべきだった。
軽く、いやかなり全力で引いた顔をした目の前の男は、フリーズしていた僕を見て口を開く。


「えええはこっちのセリフですよ。まさか男から告白される日が来るとは……世界って広いんですね」

「…………ハッ!ち、違うっ違うから!」

「え、何が違うんですかホモ野郎」

「早速そのあだ名!やめろよ僕はアルバだっ……て違くてっ」

「わーみんなきいてーアルバくんはホモだっ「わぁあああああ!!」


いくら人気がないとは言ってもここは学校。いつ誰が来てもおかしくない。
そんなところで突如大きな声を上げとんでもない事を言い出すそいつの口を、僕は慌てて自分の手で塞いだ。乱れた息を整えるため荒い呼吸を繰り返しながらそいつを睨みつける。
しかし目の前の人はそんな僕の態度もまったく気にせずに。呆れたような顔をしてから僕の手を叩き落とした。


「……冗談ですよ。さすがに俺もそんなこと言えません」

「えっ、ほ、本当に?ありがとう」

「まぁ明日からあなたのあだ名ホモ野郎になってる可能性はありますけど」

「さっき言った事思い出して!」


思わず反射的にツッコミを入れてしまうが、今僕が言いたいのはそういうことじゃなくて。
なんとなくこの男なら本気でやりかねない気がする不名誉なあだ名をつけられるのを阻止するため、僕は誤解をとこうと口を開いた。が、自分よりも先に言葉を発した目の前の男によりそれはかなわなくなる。


「ところで、先ほどの返事なのですが」

「え、あぁ、それ実は「別にいいですよ、付き合っても」………はい?」


なにを言っているのだろうかこの人は。
思わず笑顔で聞き返してしまったが、紡がれた言葉は確かに肯定を示していて。ばっちり聞こえた、聞こえないわけがない。
固まったままの僕を見たシオンは、そんな僕を馬鹿にするかのように鼻で笑った。


「まぁ、これからよろしくお願いしますっていうことですかね」










たぶん続きます。


130401



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