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2013/05/24 20:50


授業の終わりを知らせる鐘が鳴り、体調不良という名のサボリを終え廊下を歩いていた自分は、ふと見知った後ろ姿を見つけ足を止めた。
栗色の髪にスラッと伸びた長身の背丈。あぁやっぱり隣の家に住んでいる幼なじみだ。
いつものように声をかけようとしたのだが、よくよく見ると誰かと話し込んでいる様子だったのでそれを止めて。手に持っている小さな紙切れに目を通しつつ、何かを話すその子へと相づちを打っている。
その話している相手は誰なのだろうか。
窓から降り注ぐ光の反射によりハッキリとは見えないその子を拝もうと、僕は体の角度を少し傾けた。すると徐々に見えてきたその輪郭。それにジッと目を凝らす。

「……ん?……ありゃ、男?」

てっきりまた女の子かと思ったんだけど。
グリーンの手の中にある資料を指差し、眉間にシワを寄せたままずいぶんと不機嫌そうに話す男を見つめ考える。僕らの学年では見かけない顔だし、きっと一年か二年だろう。
それにしても、この学校内では知らない人は居ないくらい人気者なあの幼なじみを前にして、よくあんな顔ができるよな。
あのもはや狂気とも言えるファンの人たちに後ろから刺されても僕は知らない。
今まで止めていた自分の足を動かし、幼なじみがいる方向へと一直線に向かった。



×××



「背ぇちっさ」

「は?」

その一言により、目の前の男から発せられる不機嫌ですというオーラがより一層酷くなる。それをヒシヒシと肌で感じながら、僕は害のない笑顔を向けて見せた。
グリーンはその様子を冷や汗まじりに窺っている。

「あぁ、ごめんごめん。怒らせたのなら謝るけど。……ただトウヤクン?だっけ?があまりにも小さくて可愛いなって思っただけだからさっ」

そう言いながらウインクをかました僕。これが漫画だったら確実に煌びやかな星が飛んでいることだろう。

……あ、なんだこいつって顔してる。




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