小説 | ナノ









(篠原瑞生)



繋がりって、すごいなと思った。
人と人との繋がり、気づけば自分の周りの人同士がとても親しかったりする。

高校入ってからそれは、より思うようになった。俺は中学は市外だったから、高校は初対面の人ばかりだった。部活では中学時代に試合した人もちらほらといたけど。俺はバドミントン部に入っていて、俺の通ってた釜川中は、県大会でわりといい所まではいっていた。

そして、中学時代の友達と、高校の友達が、部活などの何らかの繋がりで知り合い、っていうケースもよく聞く。その一人は、中学で1番仲の良かった和真のことだった。



釜川中、そして北宮高校の岸和真、といえばソフトテニス部の中では知れた名前らしい。俺は和真がそんな有名人だとは知らなかったが。
和真は小学4年生の時にテニスを始め、中学、高校と最高学年の時はキャプテンを務めていた。今年の6月にあったらしい全国大会にも出場しているとのこと。


高校2年の春に和真と遊んだ時の写真をSNSのトップ画像にすると、いち早く突っ込んできたのはソフトテニス部の太一だった。太一とは高校3年間同じクラスの気の合う友達だ。

「瑞生のトプ画の人知ってるよ俺」
とか言われるもんだから。
「そっか、和真テニス部だもん。」
「そう!和真だ!あいつ強いよ〜、俺中学の時から何度もやられてるもん」

この時から、こんなこと思うようになった。





高校3年も終わりが近づき、辺りは雪が降っている。12月の土曜日の話だ。

「今どこにいると思う?」
とか和真からメッセージが来た。
「え?」
と送ると
「さくら市来てるよ〜駅前にいる」
と返される。

あら、いつの間に。
和真のおじいちゃんの家がここの市内にあるから、こいつしょっちゅう来るんだけど。まあ、電車で気軽に来れる距離だしね。

「瑞生ひまー?」
とか来るもんだから。行くことにした。

和真は用事あってこっちに来たものの、すぐに要件が済んで暇だから俺のこと呼んだらしい。まあ久々だし暇だからいっか。



合流すると昼の1時。向かったのは近くにあったラーメン屋だ。こうやって二人で飯食いに行くのも久々だ。


「そーいや、瑞生って春日高校なんだよね」
と聞かれる。
「なに今更」
「いやー、俺今年2回も春日に負けてたからさ、団体で。羽田くんと是永くん強すぎて」

そっか、太一が和真のこと知ってるってことは、和真も太一のこと知ってるんだ。

「是永太一ね、和真のこと褒めてたよ」
「え、まじ?!てか仲良いんだっけ?」
「3年間クラス一緒だからね〜」
「インハイ予選の団体戦では羽田是永に負けたんだよ俺。」
「ギリ勝てたって言ってたもんあいつ」
「本当にギリ負けたんだよな〜」


ってことは和真、太一や羽田だけじゃなく、他の人も知ってるのかなって思うと繋がりって深いよね。いっちーや松原とか、京ちゃんとか他にもいっぱいいるからね。



沢山話していると、声を掛けられた。
「あ、瑞生!」
って。

「あれ、噂をすれば太一じゃん、あと薫もいるじゃん」
太一と薫だった。この二人こそ部活繋がりで知り合った人だと思う。薫は小学校一緒だったし、薫が部活始めるきっかけも実は和真だったりする。

「って和真じゃん?!久しぶりじゃん、」
と、薫は和真に声をかける。
「わー、1度話してみたかったよ俺、」
と太一まで。

「そっかみんなテニス部だもんな…」
と俺が呟くと和真が
「この中で瑞生一人だけバド部っていうね」
と笑われる。

いいもん、バドでも沢山知り合いいるから。
薫と同じクラスに、西星のバド部の中で俺が1番話している友達の琉聖がいて、薫が1番仲良い友達と聞いた時はびっくりしたけど。


「でも瑞生ってテニス部に知り合い多いよね」
と太一に言われる。
それは何故か俺も分からない。





本当に不思議だと思う。人の繋がり。
世の中って本当に狭い。そう感じるばかりだ。

他にもきっといるんだろうな、同じ高校の人に、俺と同じ中学だった奴と知り合いの人とか。釜川中って部活はどこも強かったから、そのせいもあるかもしれないけど。




薫と太一は暫く話した後にどこかに行き、また和真と2人になった。

「ぶっちゃけこれから進学するとなるとこんなことしょっちゅう思うんだろうな」
と、和真は言う。

「確かにねー、高校卒業したら範囲は広くなるんだし。和真進学どこだっけ」
「それが西星大なのさー。経済学部ね。テニス部入るしさ、バリバリさくら市なのさー。」

そりゃあ余計になるな。また俺もこんなこと思うんだろうな。



「っていうか来年からこっち来るなら今よりもっと和真と遊べるじゃん」
「それ思った」




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