(川岸司)
今年も残り1ヶ月となった今日。テスト最終日だし、普通科2年は最終日2教科なのは嬉しいけど、それが情報と理科って俺を殺す気か。
でもそれが終わったら開放感。部活はあるけど明るい時間に終わるし、テニス部の奴らと遊びに行くことにもなった。
朝、登校中に同じクラスの結愛に会った。結愛は2年D組の学級委員長、俺は副委員長をやっている。結愛は小6まで俺と同じ小学校で、テニスも一緒にやっていた。中学の時に引っ越して学校は離れたが、今でもソフトテニス部で活躍していて、男子部のエース、智とも付き合ってる。
「司今日誕生日なんだって?!」
と聞かれる。
「俺お前に誕生日教えたっけ」
「智が言ってたから」
「リア充は黙っとけ〜」
言われると思ったよその返し。いいねリア充。
何気にまだ1度も彼女できたことないんだよな、俺。好きな人いたことはあるけど、その子彼氏いたし、ダメ元で告白して全力で振られた記憶しかないや。中3の頃の通ってた塾での話だ。
「で、せっかくの今日のテスト教科は司にとって最悪じゃない?」
早々痛いとこ突いてくるなこいつ。
「本当にな、勉強しても点取れない教科しか残ってない」
「今回赤点取ったら補習期間が試合と丸かぶりだから赤点取れないよね…」
「本当にそれ」
西星高校は、試験で赤点取ると追試があり、二学期中に受からないと冬休み中に補習がある。その期間が大事な地区大会だったり、団体の県大会と被ってるから、結果大変なことになる。男子ソフトテニス部でも、何人かそういう人見てきてる。特に智也はやばかった…。
結局悲惨だったテストも結果見たくないぐらい酷かったけど、なんとか終わった。1週間ぶりの部活も、体が動かねえ。テスト期間どれだけニートしてたんだよ俺。
12時半から始まった部活を終えると15時。すぐにバス停に行き、遊びに行く。テスト終わりに遊びに行くのも恒例になってきたな。
今日のメンバーは、晴日、華月、春太と俺の4人。最近話が弾むメンバーだ。華月と春太が彼女できた上に、晴日もこういう話が好きだから、とりあえず止まらない。
「てか今日って司誕生日じゃね?」
と、晴日が思い出したかのように言う。
「あ、たしかに」
「そっかもう12月か」
と、華月と春太が続けて言う。
「いや、忘れてたの?」
と聞くと
「違う違う、12月に入った実感なさすぎただけ」
と晴日に返される。
まあたしかにそれはある。
1年があっという間すぎて、何気に俺らが主体で部活やってくのもあと半年しかないんだな、って思うと余計に。
「って考えたら凄いよね先輩たち、透輝先輩の誕生日の時」
と華月が言う。
前主将の透輝先輩は6月生まれ。先輩は6月下旬にシングルスで出場した全国大会を終えて引退。…した直後の誕生日に、3年部員が企画して部室で誕生日をお祝いしたということがあった。まあ、今の3年は女子マネいたし、そういうこともできたんだろうなとは思う。
「なに?司もそうやってほしかったの?」
ニヤニヤしながら春太が言ってくる。
「違うしまだ何も言ってねーわ」
どちらにせよテスト最終日と被るし、時期が中途半端だから仕方ない。
「じゃあしゃぶしゃぶ行くか?司の分は俺ら3人が払うから」
と晴日が言う。
「マジ?いこ!!!」
しゃぶしゃぶなんて久々だなー。金出さないで食えるなんて最高だ。
「まあ…、これからも沢山世話になるけどよろしくな、我がキャプテン」
と春太に言われる。
急に言われるもんだからこっちが照れる。
「よろしく、来月の団体頑張ろうな!」
「なんかやたらかっこよく言ってない?この人たち」
「そして俺と晴日がレギュラーじゃないのに俺らの前でそんな会話しちゃって〜」
晴日と華月に続けて言われる。
西星の男子ソフトテニス部は人が多い。西星高校の部活の中ではかなり多いほうだ。その中でレギュラーは4ペア8人。新人戦は、玲一と智、泰聖と春太、俺と大紀、優聖と陽介、ってメンツだな。
「俺らこうやって部活終わりに部活の格好でみんなで出歩けるのあと何回だろうな〜」
と、春太が言い出す。
「あと半年くらい、よろしくキャプテン。」
晴日にも言われる。
「つーかさっきから皆してキャプテンキャプテンって、恥ずかしいんだけど」
俺は思った。
まあ、楽しいからいっか!