小説 | ナノ










(長島泰聖)


テスト一日前、となると焦りの気持ちも大きい。普通科の1年は西星高校のどの学年よりもどの学科よりも1番教科数が多く、本来なら3日で終わるテストも、4日で終わる。こりゃ、辛いもんだ。

部活もテスト前だから休み。試合か何かあれば休みも何も無いけど、何も無いからさ。


でも今回のテストには勉強できない難点がある。
そう、今日は誕生日なんだ。





朝、教室について数分経つと、急に

「たいせーーい!!!」
と呼ばれた。この声は…柊弥しかいねえ。

「んーどうしたー?」
と、返すと紙袋を渡された。
「俺と陽介からの誕プレ
「えー?嫌な予感しかしねえ…」
「そんなことないよー?」

と、入っていたのは大量のお菓子と飲み物だ。

「お前らにしてはまともなもんくれるじゃん、ありがと」
こいつらは中学も一緒だったが、いつも変なもんしか持ってこなかったから逆にびっくりだ。


「今日遊ぶの?お前の大好きな春華先輩とは?」
と、陽介に聞かれる。
「恥ずいからここで大声で言うのやめろし」
クラスメイトに聞こえてるって。まあみんな知ってるけどさ。

「で?行くの?」
ったくしつけえな。
「行くから!!早く教室帰れ!!」

んっとにこいつら2人揃ってこの話題振られたらろくなことねえ。





こいつらのせいで今日一日中クラスメイトにもいじられたわ、コノヤロー。





放課後、玄関で待ち合わせした。春華と二人でいるところをテニス部の先輩に見られ、ニヤニヤされるわ感じる視線が気持ち悪かったけど。誰かって、薫先輩なんだけど。


遊びに行くっても、テスト前だからあんまり浮かれられない。プリクラ撮って、手巻き寿司の材料買って、あとは春華の家で過ごす。

二人で手巻き寿司をするのも、中々楽しかった。1回すげえのできたけど。写真や動画撮りながら、が楽しかった。

「じゃじゃーん!」
と、奥から何かを出してきた春華。

「泰聖に誕生日プレゼントでーす!」
「おおお?!なになに?!」

開けてみると、服が入っていた。トレーナーとパーカー。
そしてもう一つは、フルーツケーキが入っていた。


「こんなものしか用意できなかったけど、16歳の誕生日おめでとう、泰聖!」

や、全然満足だよこれで。素直に嬉しすぎて、思わず抱きしめたくなった。

「ありがとう、すげー嬉しい。」
「喜んでもらえてよかった。」





今年の誕生日は、春華のおかげでとても良い思い出となった。

本当に、ありがとう。



春華は二つ上だ。3年生。もう卒業が迫ってきて、放課後一緒に、とかできるのも少ないんだろうなあ。でも、楽しみたいね。









…ん?テストの結果?

聞かないでくれるとありがたいな?




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