小説 | ナノ








(新堂滉希)




小学生の頃から同じ人を好きでいるって、中々ないことだと思う。逆に周りの人にはすごいって言われることが多い。まあ、そういうもんなのかな。小学生の恋愛って。

瞳とは小1で同じクラスになってからの仲で、低学年の時はほぼ毎日遊んでたな。高学年になるにつれて俺はテニスを始め、瞳はバトンを習い始めて、昔ほどは遊ばなくはなったけど、昔馴染みのある女の子なのは変わらなかった。



俺が瞳のこと好きだと気づいたのは小5の時の話だった。まだ小学生だったし、恋愛というものがよく分かってなかったが、多分きっかけはあの話だろうか。テニスの練習の時に透輝と話した内容、今でも忘れられないなー。
ちなみに高校2年になる前に1度別れたが、ここ二か月前に復縁。


今は高校3年生の6月。部活も引退し、テスト期間が終わり進路活動始まるまではみんな遊び放題の時期だろう。だが実はソフトテニス部は県大会がテストと丸かぶりしてしまって、テニス部だけ今週はテスト週間なのだ。という訳で、放課後暇だからと3年全員で、学校から1番家が近い修次の家に来ている。

しばらく勉強した後、突然

「滉希って瞳ちゃん以外好きになったことあんの?」
と、幸人に聞かれる。

「いや、ない。」
「その一途さは羨ましい」
「それは結太もじゃない?」
と、幸人と話してると結太が反応する。

「なに?呼んだ?」
「結太今の話聞いてた?」
幸人は結太に聞く。
「ごめん普通に情報やってた」
「結太が恋バナにすぐ食いつかないのは珍しい」
と、修次も言う。いつも恋バナにはすぐ反応してくるのが結太だから。

「いや、普通にこっち集中してたし。てか滉希なんか進展あったん?」
結太に聞かれる。
「いや特に何もないけど…」
復縁してからも毎朝一緒に登校してるし、前までは部活の時間被ってたら一緒に帰ってたし、たまに家で遊ぶくらいだし、そんな程度。

キスだってまあ、言いにくいけどわりとしてるし、勢い余ればディープキスまでいっちゃうし。でも中学の時にはもう沢山やってるから、慣れてはいるから今更恥ずかしいとは思わない。
「何だかんだ滉希が一番経験してるよね〜」
と、圭太郎にも言われる。続いて幸人にも唐突な質問をされる。
「ん〜じゃあアレは?滉希ってヤったことあんの?」
「いや、あ り ま せ ん !」
「そういうことに興味は…?」
「ないから!!」
幸人にこういう話されると調子狂う。質問がいつも唐突なせいなんだけどさ。

「でも実際ヤってみるまで分からないもんらしいよね。今までそういうの興味なかった人でも、1度手をつければ一変するともよく聞くし」
なんて、修次が言ってくる。
「いや、俺その前提なの?」
「あくまで予想。でもそうなりそうなタイプだよね、滉希って」
いや、どういう意味っすか修次さん…。
「いや、滉希ってハマったらとことんタイプじゃん」
と、結太にまで。

「いや逆に興味なさげな男子って早々いねえけどな」
圭太郎が言う。続いて修次も
「滉希ほんとに興味なさそう」
と。

「いや割とそうでもな…」
っと、口を滑らせてしまったようだ。
「「「「なんだって?」」」」

「なんでもねえ!!」

ほんとこいつらって俺のこういう話になると4人団結し出すからすげえよな。東商のソフトテニス部3年のそういうとこ大好きだわ。まあ、この場にもしマネで結太の彼女である妃奈がいたとしたら結太と俺の立場逆転するけどな。







そんなテニス部だけのテスト期間も過ぎた放課後、お互い暇だからと、瞳と俺は家でゴロゴロすることになった。まあ、部屋で2人でイチャイチャなんてことは慣れてるし、別にだからといって何もないんだけども。

くっついて、抱きしめて、身体中にキスして。舌を入れることだって、特に緊張するもなにも無い。でも、俺はこの先ができない、それだけが問題。



「どうしたの、黙ってて。珍しい。」
と、瞳に聞かれる。今の状況は、ベッドに座ってはいるが、ただ黙って後ろから抱きしめてるだけ。いつもならこんなことはない。大体は首元かじってたりキスしたりが多かったから。
「ごめん、考え事してた」

皆ってどういうタイミングで手を出してるんだろうか。くそ、悠斗あたりに聞くべきだったな、これは。今度聞いてみるか。


「ねえ滉希、今度の土日暇?」
と瞳に聞かれる。
「暇だけどどうしたの」
「泊まりに来ない?お母さんが実家に帰るから、1人なんだよね」

そういえば瞳の家は母子家庭だ。祖母も長年病気と闘ってるらしくて、瞳の母は定期的に実家に帰ってるとのことだ。
それよりも気になったのは、いつもと雰囲気違うこと。どちらかの家に泊まるのは何度かあるから初めてって訳じゃないけど、
話しててわかる。話し方が大人っぽい、いつもより。

「わざわざ誘ってくるって、そういう意味?」
念のため俺は聞く。
「そういうこと。よく分かったね。」

まさか、そう来るとは。

「ま、俺にやらせてどうなるか俺もまだ知らんけどな、楽しみにしとけ。」









「って言ったもののなあ…」
「変なところにヘタレ発揮するよね、滉希って」
「うるせえ」

まあ、とりあえず悠斗に相談。なぜか蒼佑と竜斗まで来てるけど。

「つか悠斗しか呼んでないのになんでお前らいんの」
とりあえず俺はそこが気になった。
「俺と蒼佑は部活行ってきた帰りよ。悠斗に会ったら滉希に会うって言うし、話の内容面白そうだったからついてきた」
と、竜斗が答える。

「んでそれはいつなの?」
蒼佑に聞かれる。
「今晩」
「あらま」
思わず言ったのか、竜斗からその辺にいるようなおばさん口調の反応が来た。

「とりあえずするにしてもしないにしても、コレは持っとけ」
と、悠斗に渡されたのは…
「それはもしや…?」
俺が聞くと、悠斗に
「コンドーム」
と、即答される。

「「ですよねー。」」
なんて当たり前かのように蒼佑と竜斗も反応するが。

「いや俺本当にできんのかな…。自信がない」
と俺はほざく。

「人によるけど、こういうのって結局やり出したら自分でも止められないんだよね。やりすぎて後悔する時もあるよ。でも俺は幸せだと感じるからさ。結ばれる…っていうのかな?」
と、悠斗に言われる。
「さすがベテランは違うねー?」
そんな悠斗を茶化す竜斗。

「うるさいわ。竜斗も蒼佑もいずれそうなるんだ。」
「そんな未来が俺らに見えると思う?」
蒼佑が悠斗に言う。
「そんなもん俺に聞くな、結局は自分次第じゃん。彼女できたとしてもさ。」


自分次第…か。

結局自信がないという部分が一番ダメなんだろう。いや、これに限らない。自分がやらないからといって他が動くとは限らないし、部活でもクラスの行事でもそうだ。多分、そういうのがちゃんとできる人って、恋愛面でも積極的に動けるんだろう。





「…でもありがと、頑張るわ。」
「なんか滉希、付き合いたてのカップルみたい」
蒼佑に言われる。続いて竜斗も
「たしかにな。」
と。
「何だかんだ俺の知ってる中で一番長いの滉希たちなんだけどな〜」
と、悠斗にまで。
「1年別れてたけどな」
「それでも長いよ」








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