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(池山怜)



特進科はA組とB組の2クラスがある。
A組は、男女とっても仲の良いクラスだと思う。

ここまで仲の良いクラスは見たことないってぐらい、とにかく仲良し。

特進科でも部活生はいる。俺もバスケ部に入っていて、紅志がバレー部、透輝と陸がソフトテニス部だったりと、活躍している選手も多い。特にソフトテニス部の2人なんて、中学時代から全国大会に出場するくらいだからなあ。
女子でもマネージャーをやっていたり、サークル活動していたりと、勉強と両立しながらも部活やサークル活動にも励んでいる。特進科のどの学年どこのクラストータルしても、部活生が盛んなクラスは特進科の3年A組くらいだろう、って、先生にも言われる。


3年になってから、紅志と透輝と陸と行動することが増えた。まあ、今まで仲悪かったっていうわけじゃないんだけど、最近になって、3A運動部男子組、ってクラスの人たちに4人一緒にされることが多かったから。まあ、俺ら以外にも3A男子に部活生はいるけどみんな文化部だから、運動部は俺らぐらいかな。

受験生にもなった年、部活終わりに4人そろって勉強しに学校に戻ってくることが増え、そこで勉強も一緒にしていることが多い。学校は20時半まで開いているから、部活終わりでも勉強できる環境がある。


「追試受かった?」
と、紅志が聞いてくる。
「あと少しなんだよね〜、終わらねえよ」
俺は文系が苦手だ。理数系は追試くらったことはあまりないけど、国語教科だけはほぼ毎回と言っていいほど追試をくらう。毎週一回の小テスト、これが俺の一番の地獄だろう。漢検も準2級でギリギリ合格だったので精一杯っす。

「怜も国語できたら完璧なのにね」
透輝にも言われる。
「本当に国語だけは全般苦手だわ俺……」
「頑張れよ、今のうちに克服しとかないと」
陸にまで。陸は全体的に理系が得意だが、他の教科も上の成績だ。テストの度に、こいつに抜かされそうな気がしてならない。実際に国語教科はいつも順位は陸のほうが上だけど。


「ていうか、俺らもう受験生だってよ……」
自分で言っといて急に凹む透輝。続いて陸も
「1年後にはちゃんと大学行ってんのかな…」
と。

「浪人する未来も見えなくはないよね」
紅志が言う。思わず俺も
「そんな現実的なこと言わないで」
って言ってしまったけど。


「陸は推薦で行くんでしょ?」
透輝が陸に聞く。
「今のところねー。指定校だし私立になっちゃうけど」
「陸は内申点も良いからね〜、部活も活躍してるし」
陸は大学でも部活続ける気でいるらしいし、将来どういう系統の道に進むかもちゃんと決まっているし、すごいと思う。こいつは友達としてもそうだけど、人としても尊敬できるところが多い。皆が嫌がることでも嫌な顔せず真面目に取り組む姿とか。あと要領も良いし器用だしね。


部活も終盤、高体連が近づく一方で、勉強も忙しさが増す。これぞ勉強と部活の両立。でもいずれは勉強1本になっていく。

透輝と陸は高体連を終えてからも別の全国大会があるらしいし、紅志も県選抜に選ばれていたりと、優秀選手なだけに特進科にしては引退が遅い。俺もバスケの選抜入っているから7月までバスケやってるんだけどね。



「よ!3A運動部組!」
なんて、先生にも声かけられる。

「もう俺ら色んなところに知れ渡ってるじゃん」
と陸が言う。
「俺ら有名人?やったね!」
なんて紅志は喜ぶけど。
「でもその運動部って肩書きも一学期で消えますからね、4人とも」
俺が言った後に透輝も
「夏休み入ったら俺らはただの勉強一本の受験生」
と言う。

「でもきつい運動部ときつい勉強の両立できてるお前ら4人は大した奴らだぞ。他の運動部の奴らはここまで優秀じゃないぞ」
先生が言うとすかさずに透輝が
「それは陸と紅志と怜に言ってください」
と言う。いや、透輝も充分できる奴だけどな…。


俺はこの時間が一番好きだ。部活の時間もきついながらも楽しいけど、部活後のこの勉強の時間が好き。息抜きに話したり、やる時はちゃんと勉強する。これが部活と勉強の両立の楽しいところだと思う。

特進科は部活も一学期で引退が絶対だから、夏休みからは周りからも「部活生」から「受験生」として扱われる。

特進科って、勉強ばかりしているイメージが強いってよく言われる。実際に同じバスケ部の奴らからも言われることが多い。でも、勉強を通してのコミュニケーションだったり、勉強以外の息抜きの時間だったり、そして何よりもクラス全体が仲の良い。勉強も部活も大変だけど、俺は西星高校の特進科3年A組で良かったと思う。A組じゃなかったら、こんな充実で楽しい日々が送れなかったのではないか、というぐらい。

受験まであと数ヶ月しかない。目の前の事をしっかりと受け止めて、何事にも全力で頑張りたい。





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