コレと繋がってます
「また野良猫の死体があったらしいよ。しかも野球部の部室の前に。」
「これで五件目だよね。こわいねえー。野球部もかわいそー。」
苛々する。クラスメートの野球部に対する同情の声、結局は他人事の冷たい声にしか聞こえなかった。御幸くん、かわいそうだねえ。と甘えた声ですり寄ってくる女子に愛想笑いで逃げる。二日三日たってもこの話題で持ちきり。どっかではまた事件が起きることを待ってる奴等もいるらしい。猫が死ぬより、お前らが死ね。クズ野郎。
「お前、何やってんの?」
「なにってお墓作ってんの。」
ざくざくざく、錆びれたスコップは確か園芸部の物のはずだ。あのことが起きて夜練が終わると部員全員で校内の最終チェックを始めるようになった。俺は一人で周っている途中に、花壇の端、真っ暗な分目に入りにくい位置にそいつはいた。目を凝らすとその女の隣には何か入ってるビニール袋。つんと鼻につく異臭。嫌な予感がする。あの部室の前にあった猫の死骸ってどうなったんだ?
「お前が、これ、やったんじゃないだろうな。」
「これって言わないで。この子は私の飼い猫だったの。」
「…野良猫じゃなかったのか?」
ざくざくざく、スコップが止まることはない。ぼろぼろぼろ、女は泣いていた。ごめんねえ痛かったよねえ苦しかったよねえ助けてあげれなくてごめんねえ。愛しむようにビニール袋の中に入っているだろう猫に話しかけている。俺はただぼうっとそれを眺めることしか出来なかった。何か声をかけるとしても、俺もクラスメートと同じ同情の声にしか女には聞こえないだろう。ぎりりと心臓を掴まれた気がした。
20131214