欲求不満、 | ナノ

欲求不満、
豪×風




触れられた箇所が熱くなるのはどうしてだろう、と思った。
試合中に叩かれた肩が、不意に撫でられた背中が、思わず取った掌が、

優しく抱き締められた、身体が。


「風…丸?」

豪炎寺のぽかんとしたような声でハッと我に返る。俺は抱き締められている間に意識が何処かに飛んでいていつの間にか豪炎寺を押し倒していた。
彼の下腹部に乗った状態で、俺をじっと見るその双眸に何て言ったらいいものか、困った。言い淀んでいると豪炎寺は小さく笑って俺の横髪に指を絡ませながら楽しそうな口調で言う。

「欲求不満なら、そう言えばいいだろう」
「っ、違…」
「違わない、だろ?」

小さく笑った豪炎寺の手が厭らしく俺の中心部を撫で上げる。思わずびくん、と身体が震えた。恥ずかしさで頭が真っ白になる中、それでも慌てて彼から離れようとして立ち上がった瞬間腕を掴まれ引っ張られ視界は反転、今度は豪炎寺を見上げる状態になった。小さく息を飲み込むと豪炎寺は口角を吊り上げて、

「気持ち良くしてやる」

甘い誘惑に、俺は勝てなかった。







「ひ、ぁんッ…」

いきなり銜え込まれ舌を絡められたそれに甲高い声が上がった。熱い咥内、ぬめった舌、兎角巧みな舌遣いに熱っぽい吐息が漏れてしまう。恥ずかしさなんて初めの内だけで、次第にただ快楽を追うのみになって。
銜え切れない部分は手で扱かれて全体に刺激を与えられれば先走りの液体が溢れ出て豪炎寺の咥内を満たす。それを態とらしく音を立てて舐め吸い上げるものだから忘れ掛けてた羞恥がまた込み上げてきた。

「ご、え…、じ」

羞恥に濡れた瞳を向ければ豪炎寺は何処か嬉しそうな笑みを浮かべるのだから性質が悪い。それから勿体振るように口を離して後孔に指を這わせる。俺の身体はまたびくりと跳ねた。
彼はそれを見て当然のように言う。

「欲しいんだろ?」
「っ…何で…」
「違うなら、しないけど」

後孔を何度もなぞり時たま俺の先走りに濡れた指を少しだけ挿入しては直ぐ抜き、それを繰り返して豪炎寺は俺に求めさせようとしてくる。
欲しいと言ってしまえば快感を得られるのはわかってはいるものの恥ずかしさやプライドがあるんだ、男なのに挿れて欲しいなんて、そう悶々と悩んでいると豪炎寺は手を離して身体を起こす。

「なら自分でヌけばいい、ヌくだけなら一人で出来るだろ?」

そう言って離れようとするから俺は慌てて豪炎寺の服の袖を掴んでいた。

「待っ、て………ほ……欲しい…」
「…何が?」
「……豪炎寺…の……」
「…まあ、合格」

ちゅっと額に唇を押し当てられて脚を掴まれ肩に膝を掛ける状態になり後孔が相手の視界から丸見えになればそれだけで羞恥心に頬が一気に熱くなっていく。それなのに加えて豪炎寺は顔を近付け舌を挿入した。

「ひぅ、っあ…」
「ん…」

柔らかい舌の感触は指ともあれとも違って身体がぞわぞわと鳥肌が立つような感覚に襲われる。舌と指を入れたり抜いたりを繰り返して解れた頃豪炎寺は漸く自分のそれを取り出して宛てがった。
既に大きく反り勃っていて、俺は何度目とわからない行為と言えど若干の恐怖に息を飲む。でも彼は安心させるように頭を撫でて瞼に口付けを落として身体の緊張を解してくれる。
ほっと吐息を漏らした瞬間、ず、っと中に入って来て油断してた俺は一気に奥までそれを受け入れてしまう。

「う、あっ、あ」
「大丈夫だ…力抜いて」

ゆっくりと律動が始まれば擦れる内部に喘ぎ声を絶え間無く上げて、苦しくなる呼吸を必死に整えた。
無意識の内に腰が揺れ始めて、その動きに合わせて豪炎寺はイイ所を突き上げる。

「っ、だ、めっ…あっ……修也ぁ…」
「!……一郎太…出すぞ」
「んっ、は、アッ、―ッ!」

俺は自分の腹の上に、豪炎寺は俺の中に、殆ど同時に白濁を吐き出した。





「疲れた…」
「でも気持ち良かっただろ?」
「…ん…そりゃ、まぁ」

恥ずかしげもなく言う豪炎寺に俺は照れながら頷く。すると微笑む彼に優しく頬を撫でられて、ちゅっと甘く唇が重なった。
何よりも情事の後のこの瞬間、愛おしさが爆発しそうになる。大好きだって実感する。

「…何かこうしてると、本当にお前が好きだ、って思う」

不意に、思っていた事と同じような事を言われて目を丸くする。まるで心を読まれているみたいだけど、繋がってるんだなぁ、なんて小さく笑えば豪炎寺は首を傾ぐ。

「どうした?」
「何でもない、大好きだぜ、…修也」

ちゅっと頬に唇を寄せ押し当てる。

どうか、こんな幸せが何時までも続きますように。







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