愛して(ミス照)
2011/04/21 08:55


「愛してあげる」
「…、何言ってるの、?」

唐突な物言いに俺は思わず双眸を見開いた。目前には柔らかな微笑を浮かべる自称神様。

「その儘の意味だよ」
「……頭打ったとか?病院行きなよ」
「失礼だな…僕は至って正常です」

手持ち無沙汰なのか髪をくるくる指先に絡めながら言う。そんな事を言われても、正常とは到底思えない。俺が眉間に皺を刻み唸っているとくすり小さく笑う声が届いた。

「君は知らないでしょう」
「何を、」
「だから、愛」
「…俺には親衛隊も在るんだけど」
「親衛隊なんて所詮一線引いて仕舞った関係なんて」

首を緩やかに左右に振る自称神様に吐息を漏らす。何が言いたいのか俺にはさっぱり理解出来ない、ちらり視線を送ると不意に掌がこちらに伸びる。柔和に頬に触れ這う様に撫でて、

「僕が、愛してあげる」
「愛の押し付け反対」
「君が受け入れてくれれば押し付けじゃ無いよね」

笑顔を絶やさず即座に反応される。頬を掻いて思わず編み込んだ髪を弄る、何だか困る、相手は男なんだから巫山戯んなって一蹴すれば良いのに、下手に女顔だと其も難しい。

「ねえ、

僕じゃ…不満?」

不意に頚に腕を回され一気に距離が縮まる。…俺には到底敵わないと思ってたけど、こうして見ると結構美人だし、良い匂いだし、…可愛い。無意識に腰に腕を回し引き寄せる。

「…愛してあげるって、何を如何するんだ?」
「君が望む事を何でもしてあげる」
「…如何して?俺は、俺達は君の可能性を摘んだんだけど?」
「……仕方無いじゃない、」
「何が、」
「…恋する男の子は…必死なんだよ」

頬を僅かに染め上げ呟かれた言葉に思わず噴き出した。噫、何だ、きっとただ欲しかったんだ、好きで居ても良い、って安心が。矢っ張り可愛い、なんて。

「なら愛してあげるじゃ無くて、愛して下さい、じゃ無いの?」
「僕は愛されるより愛したいの」
「……じゃあ愛さなくて良い?」
「…そうは、言ってないよ」

唇を尖らせて拗ねる姿を見て誘われる様に唇同士を重ね合わせて甘く啄んだ。

良いよ、愛してよ。

代わりに俺も愛してあげる…俺の愛は高いから、ね。




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