「船長〜」
「何だ?」
酒場で気持ち良く酔っている私は、酒瓶を持って船長の隣の席に座る。

「熱中症って言ってみて下さぁい」
「熱中症」
「そうじゃなくて…もっとゆっくり言って下さい」
「うぜェ…。…熱中症」
こちらの真意が分からないのだろう、船長の眉間のしわが深くなる。

「平仮名みたいに言って下さいよォ」
「はァ?平仮名みたいにって何だそれは…」
「お願いします、ロー船長ォ」
「…ねっちゅーしょー。…お前さっきから何なん」
船長が文句言おうときに自分の唇を重ねた。
流石の船長も驚いたようで目が見開いている。
反応に満足した私は触れるだけの唇を離した。
「はい、ちゅーしてあげました」
酒のせいなのか照れ臭いのか分からないけど赤い頬のまま笑う。

私の一連の言動を理解したらしい船長は口を開こうとした。
のだけど、シャチとペンギンが慌てて私に声を掛けてきた。
「おいおいおい」
「ちょ、お前キャプテンに何やってんだよ」
「え、ねっちゅうしょーですよねっちゅうしょー。というか船長をからかって来いって言ったのシャチじゃん」

「シャチ…そうなのか?」
「キャプテン…いや、なんというか酒の席での冗談ですよ!」
「…言っておきますけど俺は止めましたからね」
「はァ…お前らこいつが酔ったら何仕出かすか分からないの知ってるだろ」
「えぇ、こいつは絡み酒で面倒臭いんですよね」

「ちょっと面倒臭いってペンギンひっどーい」
「お前は黙っていなさい、話しが進まないだろう」
「はぁい」
ペンギンに注意されたので大人しく酒でも呑もうとグラスに口をつけた。
一口呑んだところで横からグラスを取られる。
「船長、どうしたんですかァ?」

「…もう呑むな。これ以上酔ったら冗談抜きで中毒になるぞ」
「えぇ…?分かりました」
他ならぬ船長にそう言われたんだ、これ以上は駄目だ。
何を思ったのか、船長はおもむろに私の手首を掴んで引き寄せ、耳元に顔を近づけてきた。
「せ、せんちょ」
「…それとどうせキスしてくるなら、素面でしろ」
「う…はい」

船長がいつもより色っぽく感じて、頷くしかなかった。





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