この間、バラエティ番組で芸人が箱の中のヘビを取り出すなんていう企画があったけれど、結局誰も取り出せず、しかも全員マジでビビッていたのだから笑ってしまった。毒もないし、そりゃまぁ噛まれるのは痛いけどそれぐらい男ならやってみなさいよ。なんてことを無意識のうちに呟いていたらしく、一緒に見ていたお母さんにドン引きされたのは記憶に新しい。

世間一般には私みたいなのをゲテモノ好きというらしいが、それはちょっとどうかと思う。確かにミミズやカエルの卵は他の子がワーキャー騒いでる中、素手で触ったり、テレビでヘビをマフラー状に巻き付けている人を見ると羨ましいなんて思ってしまう。これを同じマネージャー仲間の水鳥ちゃんたちに話すと決まって3人の顔色は悪くなるのだけれど。しかし、私だってペンギンとか猫とか兎とかかわいいものは好きだし、蜘蛛とかそれなりに苦手なものだってある。

流石にドン引きしている友達に向かって一方通行のマシンガントークを続けるなんていう趣味はないので、ついに溜め込んだ爬虫類・両生類への愛が溢れ出して幻想でも見たのかと思っていたらどうやらそれは違うらしい。現れたヘビは強烈なシュートとなって三国さんのいるゴールへと突き刺さった。技を繰り出した倉間くんは得意気にフィールドに立っている。ベンチで休んでいた浜野くんに聞いたところによると倉間くんはどうやら家で蛇を飼っているらしい。


「ごんべは特にヘビが好きだからなー。」


隣で一緒に聞いていた水鳥ちゃんが苦笑いをする。
あの時は本当に悪いことをしたなと思いつつ、倉間君の飼っているヘビについて考えていた。オスなのかメスなのか、太さとか長さとかどんなのなんだろうと考えるだけでわくわくする。一人脳内で想像を膨らませていると誰かが私の前に立った気がした。そういえばそろそろ休憩だったっけな、と思いながら顔を上げると噂をすればなんとやら、そこにいたのは倉間くんであった。

どうしたのだろうとしばらく彼を見ていると、ふいに倉間君がそっぽを向いた。


「…ごんべ、今日俺んち寄るか?」
「…え?」
「ヘビ、好きなんだろ?見せてやる。」


…つまり、私がヘビ好きだから倉間くん家のヘビを見せてくれる…と。


「…で、どうすんだよ。」
「行く!行きたい!」


勢いのあまり立ち上がってしまって倉間君が少しうろたえる。


「あ…、えっと、ごめんね。」


爬虫類のこととなるとつい熱くなる悪い癖。
あぁー、またやっちゃった。


「そんな一生懸命になんなくても見せてやるよ」


そう言って私の頭を撫でる彼の笑顔に何故だか体が痺れて脳がくらりとした。




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