「不動くん!」
「あ?」
「不動くん不動くん!髪の毛!髪の毛大丈夫だよね?!」
なんなんだ。
勢いよく走りこんできたかと思えば、ほっとしだような笑みを浮かべ、次の瞬間にはこれでもかと言うほど頭を撫で繰り回される。何が大丈夫なんだ。視界がぐわんぐわん揺れる。俺が現在進行形で大丈夫じゃないのはお前の所為だ。
「…やめろ」
「あ!わっ!ごめんね!」
「……で、なんだよ」
「えっとね、さっき寝てたらね、夢に不動くんが出てきたんだけどね、なんかすっごく髪がもっさもさになっててさ!!まさか本当に不動くんがリー●21とかで植毛してたりしたらどうしようって、「あほか」…でもね!このままの髪型でずっといたら不動くん側面だけ禿げそうでね、」
「おい」
「え?」
いつも通りマシンガントークを始めたかと思えば失礼なことばかり言いやがって。
少しにらんでやるとななしはごめんなさいと項垂れた。
「あっでもねあのね不動くん!長髪のもさもさ不動くんも毛玉みたいでかわいくてかっこよかったんだよ!」
「……あー、はいはい」
貶されてるのか褒めてるのかよくわからないが、多分ななしは褒めているつもりなんだろう。言われてる方は貶されてるようにしか聞こえないが。しかしまぁ、これだけ熱心に語られると悪い気はしないから不思議だ。ウザいのは置いておいて。…長髪か。今の髪型に飽きたら考えてやらんこともない、かもな。
夢から出た誠
(うおおおお!!!!不動くんもさもさかっこかわいい!)
(あー、はいはい)