今日は近くの神社で祭が催される。毎年たくさんの出店が出て、花火も上がるということで円堂たちとギャーギャー騒いで楽しんでいたが、今年は少しだけ例年と違うのである。どうやら俺の知らない間に円堂たちがマネージャーまで誘っていたようで…ということはつまり、だ。ななしが来るということなのである。今日の練習後、ななしに「風丸くん、今日のお祭り楽しみだね」なんて言われた時には緊張で心臓が口から飛び出るかと思った。


予定時間を少し過ぎてから俺の家にやってきた円堂と共に神社へ向かう。隣で円堂が何か話しかけてきたが、今の俺は自分のことでいっぱいいっぱいで返事をするのもままならない。そんな俺を不審に思ってか、円堂が「どうした?大丈夫か?」なんて聞いてきたような気もするが結局それにも曖昧に返事をした、んだと思う。多分。
ごめん、円堂。明日の練習はいつもよりもっと頑張るからさ。


円堂に心配されつつもなんとか待ち合わせ場所に着いたが、マネージャーたちはどうやらまだ来ていないようで少しだけホッとした。かと言って十分な心の準備が出来る、というわけでもなかったけれど。



「ごめんね、お待たせ」
「思ったより着るのに手間取ってしまって」



ひたすら自分を落ち着かせる為に深呼吸を繰り返していたら、マネージャーたちが到着したようで木野と雷門が俺たちに声をかける。見ると二人の後ろに音無と並んで歩くななしの姿を見つけた。と、思ったら不意に目が合ってびくり、と跳ねる。



「風丸くんっ」
「おっ、おう、ななし」



そのまま俺の方に駆けて来たななしは紺地にピンクや白の花が咲いた浴衣を着ていて、髪は高いところで纏められていて。普段と少し違うだけなのにそれだけでずっと大人っぽく見えて思わず見惚れてしまった。



「…浴衣、似合うな」
「風丸くんの方が素敵だよ」



そうやって小さく笑うななしから目が離せない。顔が熱い。きっと耳まで赤く火照っているに違いない。心臓の音が大きく響く。今にも壊れてしまいそうなほど早鐘を打っているのがわかる。頭から湯気が出そうだ。それでも目が、離せない。



「風丸くん、行こう?」



そう言って彼女がぼうっとしている俺の手を取って歩き出す。無邪気に笑うななしはたくさんの屋台の光に照らされてそれはそれは綺麗に輝いた。




title by 確かに恋だった



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