「うわっ」



声のした方を見てみると腰の引けた状態のマサキがいた。



「どしたの?」



と言ってマサキの震える指の指すほうを見ると、雨を凌ぎに来たのだろうヤモリがいた。
お!これはかわいい!なんて思って手を差し出してみると、今日の占いでアナウンサーさんが絶好調!と言っていた通り、私の運勢は最高潮らしく偶然にもヤモリちゃんが乗ってくれた。私が内心ウォォオオオオオと感動しつつ、携帯でパシャパシャ写真を撮っていると、青い顔をしたマサキが「あの…」とちょっと引き気味に服の端を引っ張る。



「せ、先輩ってそーいうの大丈夫なんですか…?」
「…は?」
「だから、爬虫類好きなんですか?」
「…え、もしかしてマサキダメなの…?」
「いや、なんで俺が異端者みたいな言い方」
「えぇー!!こんなにかわいいのに!!見てみ?見てみ?!このプニプニ感!!ヤバくね?!おててなんかパーしててすっごいかわいいのに!!」
「…あ、え、はぁ、」



何故だかすごく引かれてるようなので一回落ち着くことにする。



「どの辺がダメなの?」
「なんかこう…生理的に?」
「女子か。」
「それぐらい無理なんですって!」
「爬虫類ってことは蛇とかも?」
「全般的に」
「生きれるの?!」
「現にこうして生きてます!!」
「うーん、一回触ってみ?」
「いやいやいやいや、」
「ほら」
「無理ですって!」
「…」
「…わかりましたよ、ちょっとだけ…」



―――



「ぎゃあああああああ」
「うわっマサキ?!」
「どうした?!」



マサキの叫び声に他の部員がわらわらと集まってくる。



「…何、してるんだ?」



呆れたような部員達の目に映ったのは、地面に落ちている切れてしまったヤモリの尻尾、そして震えながら私に抱きつくマサキ、といったあまりにも奇妙な光景で。



「…うん、ちょっと、いろいろありまして…」



と言うと皆不思議そうに顔を見合わせながら練習に戻っていった。
ぽんぽん、と震えるマサキの背を叩くと漸く落ち着いたようでそれから「わっ!」とか「えっ!」とか言葉にならない声を上げて私から離れ、「れっ、練習!行ってきます!」とあたふたした様子でグラウンドに駆けて行った。
マサキの顔が少し赤いことに首をかしげながら、丁度休憩しに来た爬虫類大好き仲間の倉間に写真を見せると少しの間の後、深い深い溜息を吐かれたが一体私が何をしたっていうんだい、倉間くん。




爬虫類に恋して
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