昨日は何をするにも暇で、やる気もでなくて結局何もしないまま一日が終わった。
今日は嫌気が差すくらいの晴天で、いつの間にか練習中にぼーっとしてたみたいで霧野先輩に起こられた。お陰でイライラがさらに募った。

あの日から鬱陶しいぐらいお節介を焼いていたごんべは俺を避けるようになった。
原因はわかってる。多分、いや絶対俺だ。認めたくはないけれど。
長い間一緒に園で過ごしてきて、その間ずっと付きまとわれてウザかったのにその行為がピタリと止んだ瞬間、気がつくと目で姿を追っている自分がいる。その上誰かに俺が知らないごんべの話をされるだけで気が狂ってしまいそう、だなんて。立場が逆転した。これじゃあまるで俺がストーカーみたいじゃないか。



「…狩屋、おい狩屋」
「んなっ、いってぇ!いきなり何するんですか!」
「いきなり?何回名前呼んだと思ってんだ!」
「ハハハ…、すいません」
「お前また練習中考え事してただろ」
「いやいや、そんなことしてないですって。今日の夕飯なんだろって思ってただけですって!」
「…夕飯ね。だといいがな。そういえば最近アイツ来ないな」
「…何が言いたいんです?」
「いーや、何にも。ただ、お前って馬鹿だよなって、」



いい加減素直になればいいのに。そんな霧野先輩の言葉なんて無視して、丁度着替え終わった俺は部室から出た。俺だってわかってるさ、ただ認めたくないんだ。そんなにたくさんのものを貰ったって俺は両手いっぱいに溢れんばかりのそれをただ零すことしか出来ないんだ。受け取ることさえ難しいのにましてや、返すことなんてできやしない。ぐるぐる悩むのが億劫になって道端に落ちていた小石を思いっ切り蹴ると、サッカーボールより軽いそれは俺を笑うかのように左に反れて川原の方へと飛んでいった。それでも、それでも今は、日に日に増していく胸のもやもやとした綺麗なのか醜いのか、どうすればいいのかわからなくて捨てる宛てもないこの感情をぶつけるだけぶつけてみようか。





うそつきよわむし

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