普段そこそこの人通りがある大通りには柵が設置されて、その周りには白と黒とその上にちょこんと赤い色の乗った車がたくさん止まって、紺色の服を着た人がぞろぞろと、険しい顔をして話し合っている。
道路の端には赤黒いそれがあって、あぁそういうことか。だなんて今までに見たことのない状況にも関わらず、私は無意識に理解していた。
次の日、新聞の地域欄の隅っこにあの道路の記事を見つけて、道路にある跡とその脇にある白い花束が置かれているのを見て、昨日のは夢じゃなかったんだと思った。そこでようやくその事件は私の中で現実に起こったことだとみなされた。
帰り道、前日同様偶然にも吹雪くんと鉢合わせた私はそのまま一緒に帰ることになった。
そこであの道路に差し掛かったとき、ふいに彼が私の手を取った。
「…吹雪く、」
「冷たいね」
「え?」
「ごんべちゃん、きえちゃわない?こんなにも冷たい手じゃぁ、死んじゃうよ」
握られた手から視線を上げて吹雪くんの顔を見ると、酷く寂しそうな苦しそうな顔をして震えていた。
あぁ、そうか、きっと、彼は、
「…きえないよ。だから吹雪くん、そんな顔しちゃ嫌だよ」
そういうと彼はふ、と息を吐いて、それからいつもよりふんわりと泣きそうな顔で笑った。
なくした体温