「何故じゃああああああ!!誰かああああここから出してくれええええ」
「…官兵衛様?どうしてそんな場所に…?」
「はっ!?お、お嬢!!いい所に!!誰が仕掛けたんだか知らんが、落とし穴にはまっちまってな!スマンが誰か助けを呼んできてくれ!!」
「ええと…今すぐそうしたいのは山々なのですが…」
「何!?何かまずいことでもあるのか!?」
「今、ちょうど殿方は修練場に出かけてしまって、今城に残っているのは、女中の方々ばかりなのです…」
「な、何だってぇ!?じ、じゃあ、ここに帰ってくるのは……」
「いつも通りなら夕方頃…かと」
「何ぃいいい!!ということは、小生はあと半日はこのままか!!」
「今すぐ馬で駆ければ追いつくやもしれませんが、生憎軍馬も調教中のようですし…そうなってしまいますね」
「半日もこんな所に一人で置き去りだと……!?なんてこった…!!」
「…あ、」
「ん?どうした?」
「では、私も半日ここにいます」
「は!?お前さん何を言っとるんだ!」
「官兵衛様ともっとゆっくり、たくさんお話ししたいと思っていたのです。いい機会ですから、アサミとお話してくださいませ」
「おいおい…こんな状況でか?」
「いけませんか?」
「…まあ、いいか。一人で暗い穴の中にいるより、お嬢みたいな別嬪と話していた方がずっといい」
「ふふふ、官兵衛様ったら」
災い転じて福と為す