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幸せの定義




「及川デス。よろしくね?そしてこちらは岩ちゃん」

「あっ、マネージャーのみょうじです。及川くん、岩ちゃん、よろしくね」

「俺岩ちゃんじゃねーからな…?」

高校一年生の時にあなたに出会って、


「なまえちゃーん」

「及川くん?なに?」

「呼んでみただけ」

「なにそれ」

いつもなにかと私に絡んできた。


「後輩入ってくるの楽しみだね」

「飛雄みたいなのきたらやだなー」

「誰それ?」

「ん?ムカつく後輩」

なんて高校二年生になって話をして、


「岩ちゃん!また及川いないんだけど」

「知らねー」

「まーた女の子に捕まってんのかな」

この頃から周りの女の子に少し嫉妬してる私がいて、


「クソ川」

「なまえちゃんだんだん岩ちゃんに似てきてるんだけど…」

「及川の相手をするとこうなるんですぅー」

及川に八つ当たりしたりして。


「なまえちゃん、いつまでこっそりヤキモチやいてるの?」

「…っ、な、なにが」

「かーわいい。なまえちゃん、俺のこと…好きだよね?」

「馬鹿」

なんでもお見通しだった及川と付き合い始めた高校三年生。


「徹!主将が遅刻とか示しがつかないんだけど!?」

「だってなまえが甘えてき」

「っさい!!」

「痛い!殴らないでよ!」

徹は主将になって私はいつもそばにいて、


「及川さんとみょうじさんって仲良しですよね」

「どこが!」

「なまえー」

「そうやって部活中であるにも関わらず、抱きあってるとことか」

「国見ちゃん?これ徹が勝手にやってることだからね?」

「だからなまえ、及川さんの顔を殴るのやめてって!」

毎日曲者だらけの部員に囲まれて楽しかった。



そして引退してーーーー七年が経った。

今日は同窓会。
久しぶりに高校の体育館へと集まった。


懐かしい、そんな言葉があちこちで飛び交う。


ここで、徹と出会って、徹と付き合って、そして今ーーーー



「みょうじさん、及川さんは?」

「なんか遅れてくるって。そろそろ来るはずーーあ、きた」

金田一と話をしていた時、ちょうど体育館の扉が開いて徹が入ってきた。

皆なんだかんだ会いたかったらしくて、徹の周りに集まる後輩達。

「ハァーイ、皆久しぶりー」

「徹」

「なまえ」

手を振れば、こちらへと歩いてきた。

「そういえば、及川さんとみょうじさんってまだ付き合ってるんですか?」

いきなりの国見ちゃんの爆弾発言。

ホントに変わってないな…。


「国見ちゃん?みょうじさんじゃないよ?」

「は?」

「なまえも“及川”さん」


ニコッといつもの笑顔でそう言った。

その瞬間、沈黙がおとずれ、そしてすぐに皆の叫び声でそれは破られた。

「お前ら言ってなかったのかよ」

このことを知っていたのは岩ちゃんだけ。
驚かせようとこの日まで内緒にしていたのだ。

「今度結婚式やるから皆来てネ」

「及川なまえになってしまいました」

「あ、だからってなまえのこと呼び捨ては許さないからね?皆、及川さんって呼ぶんだよ?及川さんって」

にやけながら名字を強調する徹に皆はイラっときたのか、ボールを持ち出し思いっきり徹にぶつけ始めた。

「ちょ、皆!ヒドイ!」

「学年一、可愛いと言われたみょうじさんと結婚までこぎつけた罰です」

なんて言いながらも徹は楽しそうにボールを避けたり、レシーブしたり。
皆も楽しそうに笑ってる。



岩ちゃんと体育館の隅に避けて、それを見つめる。

「まさかクソ川となまえが結婚までするとはなー」

「ふふ、私もそう思う」

なんて笑いながら話す。
部員達が楽しそうに体育館で遊ぶ姿を見て、とても懐かしくなった。

高校時代ーー楽しかったなぁ。


「ところで、お前“あのこと”もまだ言ってないんだよな?」

「ん、もちろん」

「ハァ……及川あいつらにぶん殴られるんじゃね?」

「そうかも」


まだ目立たないお腹を撫でた。



「皆!頑張って徹に当ててー!」

「なまえ!旦那様の応援して!?」





幸せの定義
(それは貴方といること)







あとがき

及川さん、なまえちゃんを幸せにしてくださいね!!


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