novel2012 | ナノ


眠るきみに秘密の愛を




 本当、バスケしている時の木吉って無防備すぎるんだよね。
 幾ら恋人の俺と二人っきりだからって俺のベッドで幸せそうに眠っていて。
 俺だって十分狼なんだけどなー、でもこの笑顔みてたらなんか手は出せない。
 久しぶりに東京に戻ってきたら、最初は毛嫌いしていたっていうか理解できなかったけどいつの間にか恋人になっていた木吉に偶然駅で遭遇。
 木吉は何処かへ出かけるつもりだったみたいだけど俺の顔をみたら『紫原と居たいから用事は今度でいい』なんて嬉しそうに笑うから。
 そういえばこっちに帰省するって連絡するの忘れたなー、とか呑気に思ったり。
 でもニコニコ隣を歩く木吉を見ていたら胸がこうなんか熱くなって。
 バカで、いまだに理解できない相手だけどすっごいなんか暖かい気持ちになるんだよね。

 で、俺の家に着いたら親は出かけてて。
 俺の部屋に案内したら無邪気に子供みたいにキョロキョロ部屋を見回してて。
 嗚呼、もうなんでこんなに一挙一動にドキドキしなきゃならないんだろうとか思ったり。
 ベッドを見つけて飛び込んだらふかふかだなー、なんて言ってすぐに何故か寝ちゃうし。
 幸せそうに眠る木吉の顔を見ていたら平常心で居られなくなる、けれど。
 すぐに木吉の目の下にあるクマに気付く。
 ……俺が居ない間、何をしていたんだろうとか。
 黒ちんだったら知ってるかな、でも聞くのはなんかやだ。
 なんでこんなに疲れ切っているんだろうとか、色々思う。
 けど、俺のベッドの上で幸せそうに眠る姿をみたら、それだけで。
 俺まで幸せに感じちゃうんだよね、不思議なことに。
 ぷにぷに、ほっぺを触ってみると少し緩む頬。
 嗚呼、もう完全に俺毒されちゃってるなー。
 可愛くて可愛くて仕方ない、もう本当食べちゃいたい。
 甘い甘いお菓子みたいに、きっと甘いんだろうな。
 そーっと髪に触ろうと手を伸ばす。
「むらさきばら……」
「!?」
 伸ばした手を反射的に引っ込める。
 びっくりした、寝言かあ。
 っていうか反則すぎるじゃん、もう。
 寝言で幸せそうに俺の名前呼ばないでよね、ドキドキする。
「すき……」
 ……もう、無自覚なのかどうなのかわかんない、木吉のこと。
 でも、夢の中でも俺のこと考えているんだなあって思ったら嬉しくて。
 なんだか、俺まで眠たくなってきた。
 こっそりと、木吉の眠る隣に転がって後ろからぎゅうっと抱きしめる。
 あったかいなー、っていうか、思ったより背中小さい?
 っていうか俺が大きいだけ? でも、なんか意外。
 こんな一面があるなんて知らなかったわけだし。
 ほんのり香るこの匂いは、少し和を感じて。
 そういえばおばあちゃんおじいちゃんっ子だったっけなんて考える。
 んー、あったかい。
 俺までこのまま寝ちゃいそうだ。
 うとうとうとうと、眠たいなー……。
 聞こえるのは時計の針が刻む音と、自分の心臓の音。
 ――こんなに夢中になるなんて、思わなかったのに。
「木吉ー」
 寝ていることは知ってるけど、声をかけてみる。
「んん〜」
 寝ぼけているのか、条件反射なのか帰ってきた声に少し驚く。
「……大好きだよ」
「すきだぜー……」
 理性が飛んじゃう五秒前、こんなに可愛い恋人さんが悪い。
 俺のせいじゃないもんね、男は狼なんだよ、もう。
 まあ、木吉も男だって言っちゃ終わりだけど。
 眠る木吉のほっぺに、軽く口づけた。
 幸せそうな顔を見ていると理性なんて飛んじゃいそうなものだけど。
 俺にはわからないけど疲れ切っているはずの今も、俺のことを考えてくれているのが嬉しいから。
 我慢我慢、愛しい恋人の隣に居れるだけで幸せでドキドキする。
 はじめてだよ、こんなにドキドキする相手に出会うのは。
 ねえ、目覚めたらどんな顔を君はする?
「おやすみ、鉄平」
 普段は呼ばない呼び方で、隣に眠る愛しい人の名前を呼んで、俺も深い夢の中に潜る。
 幸せって、こういうことなんだろうな。





 大変お待たせしました!
 三椿さまリクエストで紫木で木吉にドキドキする紫原です。
 本当に長らくお待たせしました!
 木吉は無自覚天然ボケ男なので無意識にむっくんをドキドキさせているはず。
 多分、疲れていたのは受験勉強辺り、でしょうか。
 そういうことにはむっくんは疎そうな。
 タイトルの秘密の愛は名前呼びです、はい。

 以下コメントレス。
 わわわ、私一人ではとてもじゃないですけど復活できなかったです。
 みなさんに、三椿さまに支えられて復活できました。
 サイトは過去にも運営していたことあるのですが色々多忙が重なると閉鎖してしまおうか、永久凍結してしまおうか、迷うときがあります。
 でも、その度にそうしたら後悔してしまって。
 今回、こうやって再開できてうれしいです!
 黒バスにはまってくれる方がたくさん増えると嬉しい限りです!
 体調を心配してくださり暖かいお言葉ありがとうございます!
 リクエスト大歓迎でしたよ!
 甘い甘い紫木書くの大好きなので一人にやにやしながら。
 このような作品でよければお受け取りくださいませ!
 フリリク企画参加ありがとうございました!

 お持ち帰り、返品は三椿さまのみ受付です。
 ご閲覧ありがとうございました!

 2012.10.30 弥深(title by 確かに恋だった)


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