novel2011 | ナノ


こんなの恋じゃないのに


「花宮、最近なんだか落ち着きがないな」
 学校帰りに、古橋とマジバに寄った。
 俺はシェイクを頼んで、古橋はコーラを頼んだ。
 ストローでシェイクを吸いながら、俺はずっとアイツのことを考えていた。
 木吉鉄平、大嫌いなアイツのことを。
 そんな俺を見て古橋は言った。
「別に気のせいだよ、お前の」
「……そんなに木吉が気になるか?」
 気になるとか、ふざけるんじゃねーよ。
 そんなわけないだろ、あんなヤツ。
 俺の大嫌いなタイプだ、って知ってるくせに。
 ああ、それともなんだ? 嫌よ嫌よも好きのうち、ってか?
 んなわけねーだろ、笑わせるな。
「何が言いたいんだよ」
「いや、花宮は随分と木吉のことが好きなんだなと思っただけだ」
「……ふはっ、笑わせるなよ。シェイク噴出しそうになったじゃねーか」
 古橋は死んだ魚のような目をしているけど真剣な表情だ。
 好きとか、ありえない。
 あんなやつ、大嫌いで大嫌いで大嫌いだ。
「恋してるんだな」
「してねーよ」
 何でも知ってるみたいな顔しやがって。

 嘘だけど。
 お前は俺のことわかってるよ。
 アイツのこと気になるけど悪いかよ、嫌いだよ、世界で一番。
 でも気になるんだよ。
 こんなのどうかしてる、俺。
「お、花宮に古橋じゃないか」
 そんなこと思ってたら突然聞こえてきた声。
 大嫌いで、それでいて心地いい声。
「……やあ、木吉。逢えて死ぬほど嬉しいよ!」
 心臓の鼓動がやまない。
 こんなの、こんなの、認めない。
 これが、恋だなんて。





 当サイトは花宮→木吉気味なお話多めです。
 ヤンデレ花宮よりも乙女な花宮。
 木吉はうちでは万能に活躍してくれます。
 書きたかったのはシェイクを飲む花宮さん。

 2011/08/01 弥深

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