小説 | ナノ




  worst my life(N/幼なじみの女の子→男の子)


※死ネタ
視点:ゆうくん(男子高校生)




帰りのSHRが終わりいつもの地獄がやってくる。あぁほら聞こえてくる足音。毎日急ぎ足、でも楽しそうなのがわかる足音。

ガラガラっと音をたててドアから現れたアイツが見えた。ほらやっぱりアイツだ。


「ゆうくん帰ろ〜」



アイツは俺の幼なじみ。才色兼備、容姿端麗。
モテる奴なのに冴えない俺に必要以上にかまってくる。いやそんな生半可なものじゃない。そう、執着、依存してると言っていい。
小さい頃からそれは激しかった。物心ついた時には俺に必要以上にかまってきて、年をとるにつれてそれは激しさを増していく。


金曜日のある日奇跡的に俺に告白してくれた女の子がいた。その時凄く嬉しくて周りを確認もせずに友達に話してしまった俺。まさかアイツに聞かれていたなんて。
次の週の始めその子は学校から姿を消した。犯人はアイツ。どうやったかなんて知らない。なんでできたかも知らない。けど確かにアイツは言ったんだ。確かに俺の目の前で。


「あの女私のゆうくんに告白するなんて消えて当然だよ!」



「ほんと、素直に消えてくれて良かった」


その時コイツが犯人なんだって確信した。怒りがこみ上げてきたが、それ以上に恐怖が俺を支配する。あの子には悪いが何百倍も恐怖が勝り、アイツの常軌を逸した愛の恐ろしさにやっと気づいたんだ。遅すぎたよな…。




「わかった。今、行く」


笑う自分。
俺はうまく笑えたか?

きっと酷い顔をしてるだろう。
ぎこちなく笑う自分が想像できる。

それでもアイツは俺の気持ちなんて気づかず、これからも俺に笑いかけるんだろう?




いつも繰り返される別れ道でのやり取り。

「ゆうくん大ー好き!ゆうくんも私のこと大好きだよね?」

アイツの顔は笑ってるけど、目が笑ってない。アイツは本当に俺のことが好きなんだろう。それはわかる。けど歪んでる。狂ってる。常軌を逸してる。そんなアイツにいつ俺は壊されるか、怖くて怖くてしかたがない。アイツの望む言葉をかけなければいけない。じゃないと……。

「ああ、もっもちろん、好き、だよ…」

「だよね〜。ゆうくんが私のこと好きじゃないなんて言ったら私…」


「………」



「なにしちゃうかわかんないやぁ〜」

「………っ!」

そんなことあるわけないのにね、なんて付け加えるアイツ。体が震えだしたのがわかった。もし本当の俺の気持ちを知ったらアイツはなにをするんだ。
……もしかして俺を…、これ以上考えたくない。












突然として迎えた
俺のBAD END。
すぐそこにはアイツが…。






「ゆうくん大〜好き。だから本当の意味で私だけのものになって♪」


アイツの右手に握られたナイフがものすごい勢いで俺の左腹に深く突き刺さった。服に大量の血が滲み出し、あんなに白かったYシャツが嘘のようだ。


こんな時に冷静に自分の現状を把握してることに驚き、呆れる。



俺の人生はアイツによって振り回され、アイツの手によって幕を降ろされた。


最後までアイツのあの笑顔…。

結局俺の本当の気持ちをアイツが知る、知らない関係なくこんな結末だったんだな。それが遅いか早いかの違いだけ。ならもっと早くに言っておけば良かった。もっと早く伝えたなら苦しくて怯え続けた日々が短くすんだのにな。

アイツに従順だった俺。だがどうせ死ぬんだからもう従順でいる必要などない。だから最初で最後の小さな反抗をしよう。
思ってても怖くて怖くて言えなかった気持ち。




「__、お前なんて死ぬほど大嫌いだ」



本当に今刺されて死にそうだけどな。
ははっ、笑えてくる。


あ〜あ、本当に何もかもが最悪だった。



end







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