小説 | ナノ




  夢の後は(N黒)



ゲーチスとの戦いが終わりNと別れたあと
僕はチャンピオンに挑戦し勝った・・・

勝つことができたけど、僕の胸の中は大きな穴が空いたように物足りない
Nがいないからだ

僕はNのことを想い眠れぬ日々が続いていた




「Nっ」

僕の前に何度も会いたいと望み、会えなかったNの存在があった

「やぁ、トウヤくん」

きれいな笑みをトウヤに向ける
トウヤはNに抱きついた


「ずっと、ずっと会いたかった」

「ゴメンね」


Nもトウヤも互いに互いを激しく求めるように、力強く抱き合う・・・

「なんで・・・なんで何の連絡もないんだよ」

泣き声が森の中を響く

しばらくの沈黙のあとNが口を開き


「ゴメンね、ゴメントウヤくん・・・僕はトウヤくんのことが大好きだよ」

「愛してる・・・」



「ハッ」

目が覚める


トウヤはいつのまにか眠っていたようだ


それもそのはず
Nと別れた日からトウヤはマトモに眠れたことが無かったのだ

「なん・・・だ夢か」


頬に何か濡れている感じがした

触って見ると涙が流れていて

「ハハハなんて滑稽だろう」

悲しそうに笑う・・・

「Nはもう・・・いないのに。何を期待しているんだろう」

トウヤは身体を小さく丸め、小さい声で

「N・・・会いたいよ」

誰もいない森のなかで、誰にも気づかれないように声を殺して泣き続ける少年の姿があった

いないはずの想い人を想って・・・






それからもトウヤの眠れぬ日々は続いた


ある日のこと



嬉しい朗報が届いた


チャンピオンであるアデクさんからだ

ハトーボーの足についた手紙を開いてみると内容はNの居場所がわかったらしい・・・


「Nの居場所が!?」

トウヤは手紙に書いてあったNの居場所に向かった・・・







「ここか・・・」


トウヤが着いた所はジャイアントホールだった


ジャイアントホールとは霧に包まれていて、いつの日にか隕石が落ちできた所だ


「ここにNがいるんだな」

トウヤは期待を胸にNを探しに進んでいった


どこもかしこも霧だらけで前が全然見えない状態
進んでも進んでも霧や草や木ばかりで、Nに会えない

そんな状況がトウヤを焦らせ油断を生んだ


「いったいNはどこにいるんだろう」



探し続けて4時間



何も飲まず食わずで歩き続け、只でさえあまり寝てないトウヤの体力は限界に近かった

「本当にNはここにいるのか・・な」

トウヤの胸に不安がよぎった

Nはここにいないのではないか
Nは僕に会いたくないのではないか

トウヤの頭には、Nに会いたい気持ちと不安で占めていた



そんな時

草むらから一匹メタグロスがトウヤを襲う

普段のトウヤだったら油断せず簡単に倒していたが、今のトウヤはNのことで油断していた


(ヤバい・・・やられる)


覚悟をした

だがいつまで経っても痛みが襲ってこない


恐る恐る目をあけてみると、倒れているメタグロスと、どこか見覚えのあるゾロアークがいた

「ゾロアーク、よくやったね」


木々の間からなつかしい声がした


絶対に間違えることない、会いたくて会いたくて仕方がなかった愛しい人の声が・・・


「Nっ!?」

トウヤは、突然のことで足がうまく動かない

ゆっくりとNに近ずく・・・


一歩、一歩とNに近ずいた

「N・・・」

トウヤの頬に涙が流れる
その涙はいろんな意味をもった涙だ


喜び、怒り、悲しみ、安堵


その中でも一番強い想いは・・・喜び

Nに会えたことへの喜びの涙

「N・・・あい・・会いたかった」

思いっきり抱きつく
これが夢じゃないかと、確かめるように・・・


「なんで、なんで連絡の一つもないんだよ。ずっと心配だった、ずっと会いたかった、ずっと・・・ずっと会いたかったんだよ」

今まで押し留めていたものが溢れ出てくる

ずっと口を閉ざしていたNが口を開き
「・・・ゴメンね、トウヤくん。ずっと・・心配かけたよね。・・・僕もずっと会いたったよ。けど、未熟な僕じゃトウヤくんを幸せには出来ない。だから、君の前から姿を消した・・・」

しばしの沈黙が続く・・・

「・・だよ」

「なんだよそれ!!」



森の中にトウヤの声が響く

「僕はNがいてくれたら、それで十分幸せなんだ!!ただ側に・・・側にいてくれたらそれでいいんだ。たとえNが未熟でも構わない。側に・・・側にいてくれたらそれでいいんだ。側にいてよ、Nがいなきゃ幸せになんかなれないよ」
震えるトウヤの身体をNが優しく抱きしめる


「・・・・・・なんで気づかなかったんだろう・・・僕が側にいないことで、逆にトウヤくんを悲しませてしまったんだね」

「気づけよ・・ばか」

二人の間に優しい風が吹き抜ける

「あっ、トウヤくんの隈ひどいよ。寝てないの」

「・・・だってNに会えなくてずっと寂しかったんだもん」



(か・・・かわいい)







二人はたわいのない会話を繰り返した

「トウヤくん」

「なに?」

「こんな僕だけどトウヤくんと一緒にいたい。トウヤくんと幸せになりたい。トウヤくん・・・愛してる」


一度止まった涙がまた溢れ出てくる

「僕もNと一緒にいたい。Nと幸せになりたい。N・・・愛してる」


二人は自然と顔を近ずけ、お互いの唇に唇を重ねた


(ああ、夢じゃない)


二人は誰もいない霧に包まれた森の中で愛を誓いあった・・・




end










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