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  異世界コミュニケーション2





その次はバザールを歩き回った。そんなこんなで楽しい時間は早く過ぎる物で。王宮へ帰っているアリババ達の背中には橙色に染まる夕日が沈もうとしていた。王宮に辿り着くと、笑顔のジャーファルとやっと自由になる許しを得たらしいシンドバットが迎えてくれた。それにアラジンがモルジアナとエネを連れて駆けて行く。それをアリババとシンタローは見ながら苦笑いした。それからシンタローはアリババの顔を見てぽつりと呟く。
「今日はありがとな、アリババ」
「へ?」
「お前が声掛けてくれなかったら、俺あそこでずっと途方に暮れてたし、こんなにも楽しい思いをしなかったからな」
 そういって控え目に笑うシンタローにアリババは、照れ臭くてついつい顔を赤らめてしまう。アリババのそんな姿に吊られたのか、シンタローも顔を赤らめた。そんなお互いの顔を見てから、ぷっと二人して笑い出す。それからシンタローがポケットを漁り出し、そして手に何やらドロップの形をした透明な硝子の物に紐が付いた物をアリババに渡してきた。
「綺麗だな…」
「安もんだけどな。キーホルダーっていうんだよ。せめてものお礼に貰ってくれ」
 キーホルダーを貰い、アリババは自分に渡せる物が無いかと探すと、アリババの手にはまた違うドロップの形をしたブローチが有った。それをお礼と慌ててシンタローに渡すとシンタローは「焦り過ぎだろ」とけらけら笑う。すると、アラジンが「アリババくん、シンお兄さんお昼寝しよー!」と自由気ままな事を言うので、二人は再び苦笑いをしつつ。アラジンの元へと向かう。 アラジンの元へ向かえば、お昼寝体制になっていた。しかし時刻的にはお昼寝なんて時間ではない。しかし、はしゃぎすぎたのか、シンタローもアリババも直ぐに眠りについてしまった。そんな4人を見て、ジャーファルはくすくす笑う。
「お休みなさい、良い夢を」
 そういって薄いタオルケットを4人に被せて、ジャーファルは起きた時にお菓子でもあげるべきか考える。そんなジャーファルにシンドバットは苦笑いしながら、4人を見ると、シンタローの周りにルフが集まっていた。そしてルフがシンタローを囲み、いつの間にかシンタローは居なくなってしまった。
「帰った、か」
「その様ですね。あれ、アリババくんの手に何か……」
 アリババの手に握られていたのはシンタローに渡されたドロップのキーホルダー。それを見て、来るのが遅かったのはこれを貰ってたからか、とジャーファルは推測して、またくすりと笑う。シンドバットは何と無く悟り、ぽつりと独り言をつぶやいた。
「青春してるなぁ」
「シン、オッサンぽい」
 冷たいジャーファルのツッコミに、シンドバットは少しだけ小さい頃のジャーファルが愛しくなった。
「また、な。シンタロー」 アリババの寝言は、喧嘩するシンドバットとジャーファルの耳には入らず、シンドリアの星が煌めく夜空に溶け込んだ。
「妹さんただいま帰りましたー!」
「あ、エネちゃん。じゃあお兄ちゃんも帰って来てるんだね。もう、一体何してたの、マリーちゃん達が、心配して、」
 帰ってきたエネは先ずシンタローの妹であるモモに挨拶すると、モモはシンタローの部屋の前に居た。モモはエネの姿を確認すると、シンタローに不平を漏らしつつ、部屋に入る。そんなモモが見たものは、自分のベッドで安らかに眠る兄の姿。幸せそうに眠るシンタローに、モモも何だか怒る気力も失せた。
「あれ、お兄ちゃん、なんか持ってる」
 久しぶりに見るシンタローの寝顔をまじまじと見ていたモモは、シンタローの手に握られたドロップの形をしたブローチが目に入る。
「あぁ……また、な。アリババ」
 まるでお互いの寝言を聴いたような寝言。しかし、お兄ちゃんって、こんなの持ってたっけと考えるモモには、シンタローの寝言は聞こえなかった。


end


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星粒/夜鶴架代様/お年玉リク小説

なにかコラボした小説をお願いした所をマギとカゲプロのコラボの小説を書いていただきました!コラボ小説は凄く新鮮です♪

素敵なお年玉小説ありがとうございました☆










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