小説 | ナノ




  皆からのプレゼント(アリ総)





シンドリアのある一室で密かに話し合いが催されていた。


「今日の議題は『最近疲れているアリババくんを喜ばそう』です」

仕切っているのはジャーファルで、この会はアリババを好きになった人達の集まりである。参加者はジャーファルをはじめ、シンドバッド、シャルルカン、アラジン、白龍、モルジアナ、紅玉の7人だ。


「そこでパーティーを開きたいと思います。各自プレゼントを持ち寄り、アリババくんが一番喜ぶプレゼントをした人がアリババくん1日独占権を獲ることができます」

ちなみに1日独占権はアリババの無許可である。

早速パーティーの準備を始め、各々がやる気に満ち、プレゼントを考えた。





そして当日。アリババにバレないようにするのは大変だった。普段は鈍感なくせにこういう時に限って、妙に敏い。

「なぁ何か隠してんだろ。あとなんで目瞑らなきゃなんだよ。」

「まぁまぁアリババくん、もう少しだから」

アリババを連れてくるのはアラジンだ。ジャンケンを勝ち抜き、この役目を勝ち取った。

ある程度歩くと、大きな扉があり、アラジンはそこで止まる。

「さぁアリババくん着いたよ」

扉を開けアリババに目を開けるように言う。
アラジンに言われ目を開けると目の前には華やかで煌びやかな世界が広がっていた。

「すげー…」

素直な感想がポロッと口から出る。


「アリババくん」

「ジャーファルさん!これはいったい?」

「今日はみんなで最近疲れてるアリババくんを喜ばそうと思い、パーティーを開きました」

まさか自分のためにわざわざパーティーを開いてくれたとは思っておらず、びっくりした。それと同時に凄く嬉しい。


「アリババくんこれを。プレゼントです」

袖口から本を出し、それをアリババに渡す。

「受け取り拒否は受け付けませんから。貰ってくれますよね」

「じゃあありがたく頂きます。ジャーファルさんありがとうございます」

その笑顔に喜んでくれたと確信し、ジャーファルも微笑んだ。


「ジャーファルズルいぞ!!やぁアリババくん」

「こんにちはシンドバッドさん」

「早い者勝ちですから」

その言葉にギロッと睨みつけ、すぐに優しい顔に戻る。

「これは私からだ」

シンドバッドからは高そうなをもらった。本当はこんな高そうなものを貰うのは気が引けるが、せっかくのご好意だからと素直に貰うことにした。


それから次々とみんながプレゼントを私に来る。


「アリババくん僕はこれあげる」
アラジンからはこの年になってどうかとは思うが可愛いクマのぬいぐるみを。

次にモルジアナからは
「アリババさんこれを」
肩たたき券を貰った。きっとモルジアナなら、凄く気持ちいいと思う。

「アリババ殿俺が作ったお菓子です。貰ってください」
白龍からは甘くて美味しそうなお菓子を貰う。

「おうアリババ!ほら俺からはこれやるよ」
師匠からは剣を。剣の魅力についてかかれたメッセージカードつきだ。

「私からはこれあげるわ。私が一生懸命に作ったんだから大切にしなさいよ」
紅玉からは花の王冠を貰った。以前作ったのよりさらにうまくなっている。

(みんな俺のために考えてくれたんだよな…)

それが嬉しくて嬉しくてたまらない。
嬉しさを噛みしめてると




「よぉアリババ!」

まさかのジュダル声がした。声のした方を見たら案の定ジュダルがいて…。そして窓から入って来た。


「お前のためのパーティーが開かれるって聞いたからわざわざ来てやったぜ」

「なんで知ってるんだよ!?」

「そんなのマギである俺だからに決まってるだろ。」
そんなの理由になるのか?。本当どうやって知ったのか不思議だ。

「ほら。俺からのプレゼントなんて貴重だからな」

まさかジュダルからもらえるとは微塵も思ってなかった。そんなジュダルから貰ったのはガラスケースに入った一輪のバラだ。よく見ると透き通ってキラキラと光る、氷でできたバラだった。

「これは俺が魔法で作ったバラだから、ガラスケースから出さなきゃ溶けねぇぜ」

「ありがとう」



「じゃあそのお礼にこれくれよ」
すらりとした長い指でアリババの唇をなぞる。

「へぇはぁ!!」

顔が真っ赤になり、ジュダルから離れようとしたが、ジュダルの腕に抱かれ逃げられない。

ジュダルの顔がどんどん近づいてきて覚悟を決めた時
「ジュダル何してる!」

シンドバッドさんがジュダルを俺から引き剥がしてくれた。


「何って礼に唇の一つでも貰おうかなと思っただけだぜ」

「アリババくんの唇はやらないぞ!!」



「アリババくんあの2人はほっといて、一つ聞きたいのですが?」

「なんですか?」


「誰からのプレゼントが一番嬉しかったですか!」

ジャーファルさんは真剣な顔で尋ねてきた。
周りのみんなも真剣な顔でこっちを見てくる。


(どれも嬉しかったし、一番なんて…)


「俺、みんなが俺のためにパーティーを開いてくれたり、プレゼントを考えてくれたその気持ちが一番嬉しいです」

「だから、誰が一番だとかなくみんなが一番だと思います」

その言葉に嘘偽りはなく、アリババの素直な気持ちだ。その言葉を聞いたみんなはアリババらしいと思った。そんなアリババだから好きになったんだと改めて自分の気持ちを認識する。


「そうですね…。では楽しみますか」

「はい!!」






パーティーは夜通し開かれ、アリババの大切な思い出となった。




end










人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -