小説 | ナノ




  惚れた弱み(葵かえで様/N黒)




「僕は断じて認めないからな、N!!」

「別にチェレンに認めてもらわなくても僕はかまわないよ!!」





さっきからずっと言い合いを続けてるチェレンとN。

その横では呑気にお茶をしてるトウコとベル、そしてトウヤがいた。


「2人は会うたびケンカばかりね」

「しょうがないよ、トウコちゃん。2人はトウヤくんのことが大好きで大切なんだから」

「…変な言い方しないでよ、ベル」

トウヤは「変な言い方」と言ったが、ベルの言ってることは合っていた。チェレンはまるで親や兄のようにトウヤを可愛がり誰から見ても大切にしているのがわかる。Nはトウヤの恋人で、溺愛している。

チロッと横目で見ても、まだ言い合いを続けてた。毎回のことながら呆れてため息がでる。


「そうだ、トウヤ!」

急に何かを思い出したようにトウコが大声をだす。
「なに?」

トウヤは爽やかなレモンティーを口にする。うんおいしい。

「ぶっちゃけNのどこが好きなの!!」
ゴホッゴホッ。
なっ、何を急に質問するんだ。

「実は私も気になってたんだ。」
ベルまで言い出した。なんでこんな話になるんだ。
「Nは確かにイケメンだよ。けどそれだけじゃん。私にはNを恋愛的な意味では好きになれないな」
「わかる!Nくんは顔はいいけど恋愛はしたくないよね。なら私はまだチェレンの方がいいなぁ」
「えぇーチェレンがいいの!?私は大人の魅力溢れるダンディなアデクさんがいい」
「えぇートウコちゃんはアデクさんがいいの!?いくらなんでも年離れすぎだよ。」

女子のガールズトーク怖い…。


Nは散々なことを言われ、ベルはチェレンがいいって言うし、トウコちゃんはまさかのアデクさんがいいって言うし、なんかもうよくわからない。けどこのままさっきの話を忘れてもらえればありがたい。好きな人の好きな所を話すなんて、恥ずかしいにもほどがある。


「で、トウヤはどこが好きなの!!」

そんな簡単に忘れてはくれないよね…。
うん、うまくはいかないのが世の中だもんな。今ものすごくそう思ったよ
もう腹をくくるしかないか……。



「Nはさぁ、」

そんなキラキラとした目で見ないで。大した話じゃないから。

「確かに顔だけに見えるかもしれない。実際電波だし、世間知らずのお坊っちゃんだしね。でもね、Nはポケモンを救おうと一生懸命で、それは間違った方法だったかもしれないけど、Nの気持ちは本物なんだ。電波だけど頑張り屋で、世間知らずのお坊っちゃんだけど優しくて、ポケモンが大好きなNが、僕は好きなんだ」

ふぅー、やっぱり恥ずかしいな。顔が熱い。それに顔は絶対赤くなってる。


トウコ達は固まって、動かない。

「おーい、トウコちゃん、ベル?」

「リア充ー!そしてトウヤあんた可愛すぎ!!Nには勿体無い。私の嫁にならない?」

「トウコちゃんずるい!私もトウヤくんお嫁に欲しい。トウヤくん、さっきとっても可愛かったよ」

「いや、2人共何を言ってるの…。僕可愛くないし、普通女の子のトウコちゃんとベルがお嫁さんでしょ?」

「つっこむとこそこなの!」

ややずれ気味のトウヤ。

「その前にトウヤは僕の恋人だからね!!」
さっきまでチェレンと言い合いを続けてたNが突然話に入ってきた。

「Nくんにはトウヤくんが勿体無いよ!!」
珍しくベルが強気だ。

「そうよ、トウヤを私に譲りなさい!」

「僕を忘れてないかい。可愛い可愛いトウヤをお前らなんかにわたすか!!まず恋人自体まだ早い!!」
今度はチェレンまで入ってきて、ゴチャゴチャだ。なぜ本人を無視して勝手に言い争うんだか不思議でたまらない。
今日は溜め息の多い日だなぁと考えながら、レモンティーを飲む。


10分経ってもまだ続けてた。……さすがにそろそろ止めなきゃだよね。手に持っていたカップを置き、Nの方に近づく。



「トウコちゃん、ベル、チェレン…」
つま先を伸ばし、少し身長の高いNに軽くキスをする。

「ごめんね」

「「「……………」」」

Nを除いて他三人はショックで何も言えないでいる。そんな三人とは違いNはテンションが上がっていた。


「…トウヤから、キスしてくれた。トウヤーーー!」
いきよいよくトウヤに抱きつく。

「トウヤからのキスなんて初めてだね!!」

「そんなに嬉しがんないで。今恥ずかしいから」
みんなの前でキスするのは恥ずかしかったけど、あれが一番手っ取り早く争いを止められる手段だったんだ。うん、仕方がなかったんだよな。そう思わなきゃやってらんないよ。

「トウヤ…」

「何?」

トウヤが羞恥心をおさめていると、Nからトウヤにキスをしてきた。しかもトウヤがしたみたいな軽いキスじゃなくて、深い方を。

「んっ、ちょN!はぁ、んん!」






「いい加減やめろ!」


無理やりNを引き剥がし、渾身の一撃をNに食らわせる。あまりの痛さにピクピク震えながら痛みに耐えていた。まるで浜に打ち上げられた魚のようだ。

「何みんなのまえでやってるんだよ!!そんなの許した覚えないぞ」

「だって、トウヤからのキスが初めてでうれしくて…。あっ大丈夫トウヤは十分可愛いから」

いまだに痛いくせに無理して笑顔を作るN。


「そんなこと聞いてないーー!」
Nの好きな所を言う以上に恥ずかしい!!
そんなの知るわけもないNは
「トウヤ可愛い!もう一回キスしていいかな?」
またキスを求めてきた。


「「「そんなの私・僕が許さない!!」」」

トウコ達が復活し怒り出す。



そしてまた4人は争い始めた。

せっかく止めたのになんでこうなるのかな…。

それもこれも全部Nのせいだ!
僕が仕方がなくした恥ずかしい行為の意味がないじゃないか!!


……はぁ〜、なんで許せちゃうんだろう。
嫌いにもなれないし…。




「それは……」


その後に続く言葉が何かそんなのとっくに気づいてる。けど今はみんなを止めなくちゃ。


「あーもぉー本当に止めてよ〜」



気づかれないようにこっそり「好きだから」と呟いた。



end


―――――――――――
20000打

〜葵かえで様〜
なんだかNトウ♂だけどトウヤくん総受け要素が入って、当初思い描いていたのとかなり違くなってしまいました。リクはNトウ♂なのに、すみません。当初はもう少しNトウ♂風味で、トウヤくんが冷静?クール?な感じでした。なんでこうなったのか私にもわかりません…。少しでもお気に召してくださいましたら、嬉しいです。

20000打リクありがとうございました!!










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