大阪から神奈川に引っ越してきて数ヶ月。わたしはこの学校にだいぶ慣れてきた。そして今日からはテスト期間のため部活が休みになる。だからいつもより若干はやく授業が終わるのだ。…………だがしかし、日直の仕事があるから教室に残らなくてはいけない。


「なぁなぁ丸井、日直の仕事終わったら駅前のケーキ屋さん行かへん?」

「あー……、あそこか?隣に本屋がある、」

「おん!めっちゃおいしいねんで!」

「期間限定のタルトがあるとこだよな!」


ぷくりと風船ガムをふくらませて言う丸井は、日誌をかくうちの前の席に座ると笑顔を浮かべる。いつもより声が弾んでて、テンション上がってるんだなぁというのが伝わってきた。


「そうそう、そこ!おいしいんはうちが証明するで!」

「名字がそこまで言うなら絶対うまいだろぃ!!それかきおわったら行こうぜ!」

「よっしゃ!もし丸井に断られとったらうち、1人で行くことになっとったわ……。」


丸井の返事に安心しつつ、日誌を書く手をはやめる。


「お前、友達いねぇの?」

「うっさい!別にええもん、大阪行ったら仲ええ友達おるし!」

「ふぅん……。」

「なんやねんその目は!お菓子持ってきとるから、あげよう思っとったのにやらん!!」

「それは先に言えよ!名字の母さんが作ったやつだろ!!?俺にもくれよ!」

「えー…、」

「なんだよそれ!一緒にケーキ食いに行ってやらねぇぞ!」


丸井のセリフにかるくデジャブを感じて、思わず笑ってしまう。でもそう思ったのはうちだけじゃなかったみたいで、丸井も笑っていた。


「っはははは、」

「あはははははっ、」


2人して涙が出るくらい笑ってから教室をでた。




(あ、)(どないしたん?)(いや、明日からテストだよなぁって………。)(………あぁ、)(お前覚えてたのかよ!)
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